目指すは“がんの再発”がない治療 「第5のがん治療法」として期待が高まる「光免疫療法」に注目
◆光免疫療法とはどんな治療法?
玉川:まず、知らない方もいらっしゃると思うので、「光免疫療法」についてご説明していただけますか? 小林:がんというのは、いわゆる「がん細胞」という悪いものが体のなかにできてくるわけです。要は、それだけを壊すことができれば一番いいんですよね。それを実現させようとしているのが光免疫療法だと思っていただければ大丈夫です。 従来の治療だと、がん細胞が残っては困るから正常な細胞も含めてごっそり取ってしまうんですね。そして、薬もがん細胞だけに効くわけではないんですよ。がん細胞だけが消えるようにプランを立てて研究してきたのが光免疫療法だと説明するのが端的だと思います。 人間にはもともと体が(がん細胞を)抑え込んで、がんにならないようにしている仕組み、体の免疫があるわけです。つまり、がんが少なくなり、免疫がなんとか抑え込める状況まで持っていけばいいんです。光でがんをできるだけ壊し、そして免疫を作る。なので光免疫療法という名前にしているんです。 玉川:原さんに補足すると、手術でがんを取り除いても、取りきれないときがあるわけですよ。そうなると、あとになってそのがんがまた暴れてくるわけです。 原:再発の話はよく聞きますよね。 玉川:そういった、目に見えない形で残る部分を免疫がやっつけてくれればいいわけですよ。ところが、がんという病気になっている人は、多くの場合、免疫ががんを認識できないようになっちゃっているんですね。がん細胞側が免疫から逃れるようなシグナルとか、いろんなものを出しちゃうんです 小林:そこを上手にがん細胞を壊してあげれば、がんがそこにいることに体が気付くんですね。そうなると、防御する側、つまり免疫ががん細胞を壊しにいけるわけです。がんを壊すうえで、ちゃんと防御も高めていかないと体が元に戻らないので、そこも強めていく治療法です。 原:(がん細胞を)完全に取り除いたら再発はなくなるんですか? 小林:そうなのですが、完全に取り除くことは本当に難しいんですよ。だけど、残ったのがたとえば1個だとしたら防御(免疫)で抑え込めるわけです。いつも人間の体にはたくさんのがん細胞ができているんですけども、通常は体が防御して抑え込んでいるんです。その状態にまで戻すことができれば、健常の人と同じようになるんじゃないかなと思います。 (TOKYO FM「ラジオのタマカワ」2024年5月23日(木)放送より)