《杉山邦博氏&やくみつる氏が2025年の相撲界を語る》次の大関は誰か? 有力候補は熱海富士、若元春と若隆景は同時昇進も、尊富士や朝乃山にも期待
1月12日から始まる大相撲初場所で、九州場所で優勝した琴櫻と準優勝した豊昇龍が綱取りに挑む。一方、同場所で新大関だった大の里は9勝止まりで、初場所での綱取りはおあづけだ。2025年の番付はどのように変化していくのか。元NHKアナの相撲ジャーナリスト・杉山邦博氏と漫画家・やくみつる氏が議論を交わした。【前後編の後編】 【写真】大関昇進のスピード出世記録を塗り替えた大の里。九州場所で準優勝だった豊昇龍も
やく:休場続きの照ノ富士ですが……出ると不思議に勝ちますよね。若い大関陣が差を詰めてきて、はね除ける力があるのか。 杉山:もうないですよ。 やく:確かにここから復活したらバケモンですね。 杉山:照ノ富士が引退して横綱が2人誕生するとなると、大関が手薄になりますが、次の大関には熱海富士を推したい。私はいつも相撲ファンの皆さんに「20代前半の力士に注目して応援してもらいたい」とお話ししています。今の幕内には9人いて、そのなかで熱海富士は優勝決定戦にも出たことがあり、内容的にも引いたり逃げたりしない力士。大化けする可能性がある。 九州場所で豊昇龍との一番では勇み足で負けたけど、99.9%熱海富士が勝っていた。足の親指のつま先がちょろっと出たなんてね、あんな判定はないよ。相撲の流れからも勝っていた。今年は熱海富士が大関になると信じています。なってくれなければ坊主になる。 やく:ボクも熱海富士が大好きですが、幕内上位でまだ勝っていません。それなら大波3兄弟の次男と三男のほうが相撲景気の盛り上げには良い。2025年の真ん中あたりに、大崩れしないタイプの若元春と若隆景の大関同時昇進があると密かに考えております。 杉山:若隆景はあんな大ケガからの復活。これは只者ではない。技術面だけでなく精神的にも非常にしっかりしているでしょう。ただ、兄の若元春は伸びしろではちょっと劣るんじゃないか。ボクが熱海富士を推すのは大化けを期待するからこそ。 やく:同部屋の尊富士はどうですか。 杉山:攻撃タイプだからね。攻撃タイプの力士は貴重ですよ。相撲の世界では一息で勝てって言うが、まさに一息で決着をつける力士。足が細すぎるって言うんだけど、足は細くていいんですよ。 やく:怖いぐらい細く見えますよね。 杉山:昔、土俵の鬼といわれた初代若乃花さんが、入門した弟子に“足を見せろ”と言った。その時に足首がキュッと細く締まっていると“よし”と言った。それが出世する力士だそうです。あとはケガで幕下まで落ちた朝乃山の復活を期待しています。真面目に頑張っていますからね。 やく:毎場所誰が優勝するかわからないっていう状況で「番付崩壊」みたいな言われ方をしました。これは2024年にかなり収斂しかかって、新しい年はもっと収斂していく。 杉山:2025年は相撲界にとっては非常に大きな岐路に立つ年だと思いますね。いい方向に進んでほしいと願うばかりです。 (前編から読む) 【プロフィール】 杉山邦博(すぎやま・くにひろ)/相撲ジャーナリスト。1930年、福岡県生まれ。1953年に早稲田大学文学部卒業後、NHKに入局し、スポーツ担当アナウンサーとして大相撲報道で長きにわたって活躍。現在、日本福祉大学生涯学習センター名誉センター長、同大学客員教授を務める。 やくみつる/漫画家。1959年、東京都生まれ。漫画家。1981年、漫画『がんばれエガワ君』でデビューし、1996年『文藝春秋漫画賞』を受賞。元日本相撲協会外部委員で、テレビコメンテーターとしても活躍する。 ※週刊ポスト2025年1月17・24日号
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