1周年を迎えた ChatGPT 、この1年の歩みをまとめる
記事のポイント ChatGPTが発表されてから1年が経過した。そのツールはこの1年で検索の改革や新たな創造の波を引き起こし、従来の製品ロードマップを変える要因となった。 一方で、大規模言語モデル(LLM)の使用に関する法的・倫理的な問題に直面。訴訟や立法の動きが起こり、AIの利用範囲や法的規制についての議論が広がった。 ChatGPTは企業にとってAI投資のゲートウェイドラッグとなり、ガートナーの調査によれば、経営幹部の45%がAI投資を増やす理由としてChatGPTの人気を挙げた。 2023年11月30日、オープンAI(OpenAI)がChatGPTを公開してからちょうど1年がたち、数えきれないほどの企業や一般ユーザーがジェネレーティブAIの恩恵とリスクを経験した変革の1年が過ぎ去った。 ChatGPTおよびジェネレーティブAI全般がこの1年のあいだにマーケティング、テクノロジー、メディア、カルチャー、社会にもたらした無数の変化を簡潔にまとめるのは難しい。 それらは検索の世界に新風を吹き込み、新しい創造の波を引き起こし、これまでなかった製品ロードマップの実現を可能にした。同時に、知的財産、誤情報、差別、データプライバシーに関連した新しい懸念も生まれた。 働き方の未来や創造的プロセスから、イノベーションの倫理や規制の役割まで、根源的な問いも数多く現れた。進歩のあまりのペースに、AIの進歩を放っておくとChatGPTの領域をはるかに超えて人類に危険が及ぶかもしれないと恐れる声すら聞こえてくる。
ChatGPTは常に話題の中心だった
革新が相次ぐなか、ChatGPTの登場は、オープンAIをはじめとする企業の大規模言語モデル(LLM)の利用方法として何が許されるのかを問う、訴訟や立法の動きをも引き起こしている。今年2023年、オープンAIはAIに対するアプローチが著作権やデータプライバシーに関する法律に違反していると複数の訴訟で訴えられ、現在の法律が何を守っているのか、政府はLLMを規制する新しい法律を制定すべきなのかといった議論が巻き起こった。 オープンAIはChatGPT1周年を記念して、ChatGPTが仕事や日常生活でどのように活用されているのかを取り上げた短編動画を公開したが、この1年に関する米DIGIDAYの取材には応じなかった。 とはいうものの、トラフィックの数字がすべてを物語っている。シミラーウェブ(Similarweb)によると、2022年11月30日のデビュー以降、ChatGPTのモバイルおよびデスクトップのWebトラフィックは公開日の15万3000回から2022年12月には2億6600万回、2023年10月には17億回と、急激な伸びを見せた。 シミラーウェブの速報値では、2023年11月のChatGPTのトラフィックは全世界で16億7000万回。Googleバード(Bard)の2億6700万回、Character.AI(キャラクターAI)の1億6500万回、アンスロピック(Anthropic)のClaude(クロード)の2600万回をはるかに上回る数字だ。米国だけを見ても、ChatGPTの11月の訪問数は1億8200万回で、アプリの月間アクティブユーザー数はiOSとAndroidを合わせて490万人まで伸びている。 WPP傘下のエージェンシーであるVMLY&Rで最高イノベーション責任者を務めるブライアン・ヤマダ氏は、「ある意味、現在はこれで何ができるかを探っているごく初期の段階にあるといえる」と話し、「iPhoneで最初に登場したアプリを考えてみても、思い出すのはフラッシュライトとiBeerだ。その道具に本当に詳しくなってはじめて、本格的に意味のあるユースケースを見いだせる」と語った。