引っ越し先の「住みやすさ」が一目瞭然…物件以外に確認しておきたい“たったひとつ”の場所【土地家屋調査士の助言】
土地家屋調査士としてさまざまな地域の住宅地を歩いてきた平田真義氏が、自身の経験から「ゴミ屋敷になりやすい土地の形状」と「引っ越し前にチェックしておきたい物件以外のポイント」を解説します。同氏の著書『住んでる人の性格は家と土地が教えてくれる』(自由国民社)よりみていきましょう。
「割れ窓理論」でゴミ屋敷化が加速
アメリカの犯罪学者、ジョージ・ケリング博士が提唱した理論に「割れ窓理論」というものがあります。 1枚の割られた窓ガラスをそのまま放置していると、さらに割られた窓ガラスを増やし、少なかったゴミもどんどん増えていき、最終的には街全体が荒廃していく、という理論です。 犯罪が多かったニューヨーク市で、1994年以降、当時のジュリアーニ市長が、この「割れ窓理論」を参考に改革を行いました。割れた窓の修繕や、地下鉄や壁などの落書きの補修のほか、軽微な犯罪の取締りを強化した結果、次第に犯罪が減少、最終的に凶悪犯罪も減少したと言われています。 街全体が荒廃していくと、人の心もすさみ、軽犯罪から重犯罪へと発展していくということです。 「1人がルールを破ると、『あの人も置いているからいいや』と、他の人も次々とルールを破るようになる」というように、「1つでもゴミが捨ててあると、自分も捨てていいだろう」という心理が働いてしまうのです。人の心は周囲の環境にとても影響を受けやすいのです。 ゴミ屋敷に住んでいる人も、その家に住み始めた当初は、きっとゴミなんて1つもなかったのではないでしょうか。たった1つのゴミを許したことがさらにゴミを生み、どんどん増えていってしまったのかもしれません。
「ゴミ屋敷になりやすい土地」の特徴とは
ゴミ屋敷にしてしまう素質は、実は多くの人が持っているものです。そうはいっても、ほとんどの人はゴミ屋敷になる前になんとかしていると思います。今回出会ったゴミ屋敷となっていた土地は「旗竿地」でした。 測量を依頼してくれた依頼者さんの土地は画像のような位置にあり、こういう土地を「整形地」といいます。 旗竿地は、価格が相場よりも安く、道路から見える部分が限られているために人目に付きにくい、交通量の多い場所でも、室内が比較的静かだという点は、メリットと言えます。 ただ、「人目に付きにくい」ということは、自分の「素」が出やすくなるということ。人目がなくても自分を律することができる人ならよいのですが、「少しくらいならいいか」という気持ちから始まった「だらしなさ」がエスカレートしやすいと言えます。 そういう意味で旗竿地は、土地の形状から、心理的にゴミ屋敷になりやすいところがあると言えるでしょう。