止まらぬ円安、金融市場のFRB支配が鮮明に-日本に打つ手なく
BNYメロンの市場戦略・インサイツ責任者、ボブ・サベージ氏は「米金融当局が実際に緩和を実施するまで、こうした日本の取り組みが効果を発揮するとは思えない」と指摘。「大局的には、日本でのドル需要を低下させなくてはならない。日本の長期金利が十分に高くなるか、あるいは米金利が十分に低くなる必要がある。どちらも起こっていない」と述べた。
米商品先物取引委員会(CFTC)が24日に発表した統計によると、資産運用会社は円ショートを積み上げており、先週は2006年までさかのぼるデータで最も弱気だった。
今年に入って円安・ドル高の原動力となっているのが日米の金利差だ。
しかし、これは想定外の展開だった。市場は年初の段階で、日本銀行が超低金利政策から脱却する一方、米金融当局は一連の利下げを開始し、世界的な金融緩和トレンドをけん引すると踏んでいた。だが、ふたを開けてみると、米国の底堅い景気と根強いインフレを受けて米金融当局は利下げを保留。日銀が踏み切った利上げはわずかなものにとどまった。
チャールズ・シュワブのチーフ債券ストラテジスト、キャシー・ジョーンズ氏は「今年は日本の金利とともに円も上昇するはずだった」と話す。だが、今でも「待ちの状態が続いている」と言う。
28日に発表される米個人消費支出(PCE)価格指数が円相場を動かし得る次の大きな材料となるだろう。エコノミストを対象とする調査では、変動の激しい食品とエネルギーを除くコアPCE価格指数が減速すると予想されている。そうなれば、年内の米利下げを後押ししそうだ。
日本にとっては失うものが大きい。シティグループは日本当局が追加介入を行うための原資を2000億-3000億ドルと見積もっている。介入となれば、日本当局はドルなどの外貨準備か、保有する世界の国債を売って円を買うことになる。
みずほセキュリティーズのマクロ戦略責任者、ドミニク・コンスタム氏は、日銀が金融政策を正常化する中で、為替介入はむしろ「円が最終的な底値を探るプロセスにおいてペースを減速させる」といった側面が大きいと指摘する。