TOTO清田徳明社長「売上高1兆円にとどまらない」 中国事業の現状「非常に厳しい」 My Vision
「少子高齢化は30年前から想定し、古いものを単に手直しするリフォームではなく、生活スタイルも一新する『リモデル』を提案している。『リモデル適齢層』は子供が成長して巣立った50代後半から70歳前後で、この層は少なくても30年代前半までは統計的には減らない。また、さらに高齢の方の大半は在宅で過ごしている。掃除が楽だったり、使いやすい機能、バリアフリーなど価値を提供していけば安定的に成長できる」
■セラミック事業も好調
──半導体装置に使われるセラミック事業も好調だ
「もともとわれわれの生業は窯業で、トイレや洗面所などの陶器と半導体を製造する装置に使われる静電チャックは同じセラミックでシナジー(相乗効果)がある。セラミック事業も米国と同様、〝水没〟している時間が長かったが、日本政府も米国も半導体産業に投資し始め、人工知能(AI)の普及でデータセンターが今後必要になるなど非常にいい流れだ。半導体産業の動きは急なので、追随できるよう早めに生産体制を確保し、一層伸ばしていきたい」
──30年に売上高1兆円の目標を掲げた
「シンボルとして掲げており、当然到達するつもりだが、われわれは1兆円でとどまる企業だとは思っていない。大事なのは30年に1兆円が1兆2000億円なり、1兆4000億円になるという勢いを会社の中でつくれるか。そういう意味では、もっとやれるんだという雰囲気を作れるかが大事だ」
──今年で創業107年。発展してきた理由は
「国内外約3万5000人の社員全員に、外国人社員には母国語に翻訳して初代社長・大倉和親が二代目に宛てた書簡(手紙)を渡している。TOTOが社会に生かされている意味は何なのか。その中で自分たちは何をしないといけないのか。そうした意識を社員がしっかり腹落ちして持ってもらっている実感がある。そこが何よりの当社の強みだと思っている」
清田徳明
きよた・のりあき 福岡県出身。1984年、長崎大卒。同年、東陶機器(現TOTO)入社。国際事業部部長、ウォシュレット生産本部本部長などを経て、2016年4月、副社長。20年4月から現職。63歳。