親は「子どもにスポーツや部活動をどこまで頑張らせるか」、勝利至上主義の世界で生きる子どもを支える方法
大人向けの講演ではよく、「『何をするか?』ではなく『何をしないか?』のサポートをしましょう」と話します。心のキャパシティーをコップの水に例えると、メンタルヘルス不調の子どものコップはすでに満杯です。良かれと思って「これをしたら?」と助言や指導すると、その水は溢れてしまうでしょう。そんな時、逆に大人のコップに余裕があれば、子どもの水を引き取ることができます。 そこで、ただ子どもの話を聴くことに注力してほしいのです。聴いてもらうということは「自分に価値がある」と感じられる体験ですし、自分を客観的に見て心の状態を棚卸しする機会にもなります。
あえて「何もしない」のは想像以上に難しく、きちんと話を聴くには体力も必要です。子どもは、大人が話を聴いていないことに一瞬で気付いてしまいます。しかし逆に、真剣に真っ直ぐ話を聴いてくれる大人がいると、それだけで救われるのです。大人が話を聴くスキルを磨き、うまく言語化できない子どもの感情に輪郭をつけてあげられる時間が増えれば、これ以上に嬉しいことはありません。
せきねみき :ライター・コラムニスト・編集者