親は「子どもにスポーツや部活動をどこまで頑張らせるか」、勝利至上主義の世界で生きる子どもを支える方法
教育本には「ほめて伸ばしましょう」と書かれますが、やや違和感があります。「ほめる」より「認める」がしっくりくると思うのです。「ほめる」は、親が設定した暗黙の目標に到達すれば合格というイメージ。一方で「認める」には、子ども自身が考えてやり切るイメージがあり、子どもの主体性を感じます。お子さんのことを認めながら、背中を押してほしいです。 ■実は子どもは、見えないところでちゃんと動いている ──親からの相談には、どのようなものがありますか。
こんな相談を受けたことがあります。 “言われたことは嫌がらずにやりますが、それ以上のことをやろうとしません。間違いを恐れずに自ら考えて(先を読んで)自ら動くようになってほしいのですが、家庭でどのように見守ればよいですか” 恐らくこの親は“できる人”で、次にすべき行動にすぐ気づいてしまうのだと思います。そして子どもへの期待が高いからこそ、親自身が思う「こうあってほしい」を望むのでしょう。 質問に対して私は、「実は、見えないところでやっているのではないでしょうか」と回答しました。子ども自身が必要だと思う場面ではちゃんと動いているはずで、その主体的に動いた部分に価値があると思います。なかなか時間が取れないですが、本来であれば、子どもが自ら取った行動の意図を、落ちついて聞いて理解してあげたいところです。
実はこれはスポーツでも同じです。試合で指導者のサインプレーに背いたら、ほとんどの場合は叱られるでしょう。しかしここで、自分で判断して動いた理由をしっかり聞けば、その子の個性がよくわかります。子ども自身を認めてそのプロセスをも認めることで、子どもの主体性が育まれるのではないかと常々思うのです。 企業では、学生時代に運動部で活躍した人を好んで採用する傾向があります。上位下達や絶対服従の世界でやってきた人が出世していくとなれば、いつまでも価値観は変わらないでしょう。これがいろいろな企業で、しかも大企業で起きると、社会や日本の価値観にもなっていきます。