花粉少ないスギ増産へ 寒河江に県内初、種子を採る施設整備
県は寒河江市にある県森林研究研修センターに、比較的花粉が少なく成長が早い品種のスギを増産するため、優良な形質の「特定母樹」から種子を採る県内初の施設「閉鎖型採種園」を整備した。既に稼働しており、23日に報道関係者に公開した。2026年から種子を採り、再造林での活用を目指す。 特定母樹は、全国各地の最も大きく丈夫な「精英樹」をルーツに、研究調査を経て選ばれ、在来品種と比べて花粉量が半分以下で、成長速度は1.5倍以上の系統を選抜して作出した。樹体も丈夫で、雪で枝が折れたり、倒れたりすることが少ないとされる。植栽から伐採まで通常50年かかる環境でも、今回選んだ特定母樹は35~40年ほど。比較的短期間でスギ材として利用できる。 同園は、126平方メートルのビニールハウス1棟で、成長が早い系統と、雪の重みを受けても、根元が曲がりにくい系統の2種計200本をコンテナで植えている。他種の花粉の混入を防ぎ、適度にストレスを与えることで採種量が増えることが期待される。
施設整備費用は約1900万円で国の補助金を活用。種子は県内の苗木業者に提供され、採種量は苗木14万~20万本分の年3.5~5キロを見込んでいる。同センターの宮下智弘主任専門研究員は「林業をする人々にとって優良な品種で、花粉が減り、花粉症の人にとっても、症状の改善につながることが期待できる」と話した。