【全日本プロレス 宮原健斗】12.31代々木で7度目の三冠王座に返り咲き、エースとして2024年をスタートさせる
16年間で一番印象に残っていること、一番悔しかったこと
プロレス界で16年間活動してきて一番印象に残っていることを聞いてみた。 「コロナ禍が明けて、会場に声援が戻ってきたことです。とくに今年10.21後楽園の宮原健斗vs青柳優馬の三冠戦は大歓声の中で行われた試合で印象に強く残っていますね。前回の2022年5月、札幌大会での宮原vs青柳の三冠戦の時は声援が全くなかった。コロナが原因とはいえ声援を浴びることができなかったのは、長いプロレスの歴史において初めてじゃないでしょうか。やっぱり盛り上げるために身体を張って試合をしているので、声援がないのは寂しかった。この3年間、大爆発する声がなかったですから」 逆に16年間で一番悔しかったことは何だったのだろうか? 「2016年2月12日、史上最年少三冠王者になった時、試合後のマイクパフォーマンスで、お客さんがヒートアップしなかった。記録を更新した喜びではなく観客に求められていない王者『消去法でのチャンピオン』だと感じました。だから『宮原健斗のTシャツを着てタオルを持ったファンが会場に埋め尽くすこと』を想像しながら、一試合一試合戦ってきました。エンターテインメントは楽しくなければお客さんは来ない。いくらプロレス論を語ってもお客さんが集まらないと意味がないんです。入場からの『健斗コール』や試合後のマイクは、昔からの全日本プロレスファンからすれば理解しにくい部分ではあると思います。でも伝統をこのままやっても厳しいと感じた。2016年に『最高ですか』って言ったとき、『何言ってんだ、こいつ』という会場のお客さんの空気感は悔しかったですね」
2023年12月31日、三冠王者・中嶋勝彦へ挑戦
そんな宮原健斗の2023年はまだ終わらない。12.31代々木での三冠ヘビー級選手権試合で宮原は、王者・中嶋勝彦に挑戦する。 中嶋は健介オフィス、ダイヤモンド・リング時代の宮原の先輩。プロレスリング・ノアで活躍していた中嶋と全日本プロレスの宮原は交わらないと思われていた。しかし今年2月、東京ドームのリングで再会を果たした。この時は6人タッグで対戦、そして7月ノア後楽園大会「One Night Dream」と称された禁断のスペシャルシングルマッチが行われた。宮原vs中嶋の対戦カードのみ発表され、その時点でチケットはソールドアウト。魂を削り合う戦いは中嶋が勝利、先輩が意地を見せた。 この時、宮原は「今日限りで終わるのか、果たして次があるのかはプロレスファン次第だ。俺はいつでも借りを返す準備を整えておくよ」と悔しさをにじませた。 「本当に僕は(中嶋を)毛嫌いしてたんで、もう二度と交わることはないと思っていた。でも人生って分からないものですね」 中嶋は今年9月に所属していたプロレスリング・ノアを退団。10.21後楽園の三冠戦後の会場に突然姿を現し、持っていた花束で宮原をぶっ叩いた。その後、11.5札幌で青柳優馬に勝利、三冠王座を戴冠した。 12.31は流出している三冠王座を取り戻すこと。そして、7月に敗れた中嶋に2度は負けられないという頑強な気持ちで挑む宮原にとって重要な一戦だ。 「こういう負けられない戦いのシチュエーションというのは、あまり味わったことがないですね。しかも(中嶋と)三冠ベルトを賭けるじゃないですか。むしろ三冠ベルトを賭けて戦うなんて思ってもなかったですね。自分がプライドを持って魂を込めた三冠ベルト。これを僕が大嫌いな人が巻いているので。だから大晦日、すべてを終わらせてやろうと思います。僕が勝って全日本プロレスの2023年をキッチリ締めます」