【西武投手王国への道】若手先発に見えた明るい材料 炭谷に学ぶ3年目捕手・古賀「リードについて話していると、銀さんはそこまで考えているのかと感じます」
直接の助言プラス見て学べること
7月17日、今季4度目の先発で初勝利を初完封で飾ったのが青山だ。歓喜の輪ができてから約1時間後、安堵した表情で帰途に就いたのがバッテリーを組んだ古賀だった。普段より帰宅が遅くなったのは炭谷に助言をもらっていたからだという。 「良かったこと、課題を銀さんに聞いていました。リードについて話していると、銀さんはそこまで考えているのかと感じます。僕はキャッチャーとしてのステップを踏むためにやることがいっぱいあるなと、あらためて思いました」 大卒で入団した古賀は2年目の昨季100試合に出場した一方、配球の“正解”を出せずにいた。もちろん自分の中で根拠はありながら、自信を持ち切れずにいたのだ。それが今季、炭谷の入団で相談できる先輩ができた。炭谷は聞かれたら、何でも答えているという。 古賀にとって直接聞けることはもちろん、大きいのが見て学べることだ。実は前日の炭谷の配球を古賀は参考にしたと明かす。6回一死一塁で四番・森友哉にカーブを有効に使い空振り三振に仕留めた場面だ。 「昨日の勇太朗もカーブで入って三振にしていました。今日の後半、僕もカーブを使い出して美夏人もゾーンに来ていたので」 17日のオリックス戦で0対0の4回一死一塁で森に粘られると、青山は6球目にカーブで泳がせて二塁フライに打ち取った。そして5対0の7回、先頭打者の森に対し初球にカーブでカウントを稼ぐと2ボール2ストライクから真ん中への速球でセンターフライに打ち取ったのだ。古賀が配球の意図を明かす。 「5対0だし、森さんは一発を狙ってくると。もう軽打なんてしてこないと思い、ずらしにいきました」 今季開幕戦で先発マスクを託されるなど正捕手の期待がかかる古賀だが、低迷するチームで投手陣を思うように引っ張れずにいる。徐々に先発を外れる試合も増える中、2日連続で炭谷に力量の差を見せつけられて期するものがあった。 「銀さんが一昨日マスクをかぶって菅井が完封し、昨日は勇太朗が1失点。僕の中で今日はちょっとプレッシャーがあって。でも自分で見て感じて、“ピッチャー・青山”でやれることをプランに立てて意図を持ってやった結果、0点に抑えました。9回まで投げさせられて達成感があります」 投手陣には打線の低迷で点を失えない重圧がのしかかる一方、甲斐野央や平良海馬の離脱もあって苦しい運用を強いられた。そんな前半戦で最後、一筋の光明が差した。 投手の持ち味を最大限に引き出せるのは捕手だ。円熟味を増す炭谷をうまく起用しながら、古賀をはじめとする若手の成長をどう引き出していくか。投手王国への道には捕手の有効活用も不可欠になる。
週刊ベースボール