【独自】「私は病原体でもなんでもないわよ」デヴィ夫人が出社拒否した元従業員との裁判に負けていた
デヴィ夫人(84)が運営している株式会社オフィス デヴィ スカルノ(以下、デヴィ事務所)の元従業員と法廷でバトルを繰り広げ、労働審判および裁判で”連敗”中であることがFRIDAYデジタルの取材でわかった。 ジャニー喜多川氏を擁護、金銭トラブル報道も…それでもデヴィ夫人が「テレビから消えない」ワケ 訴訟に発展するきっかけとなった出来事は、3年前、コロナ禍の時期にさかのぼる。 〈あなた方は、もう私と会う事もないのでご安心ください。先週の金曜日(2月12日)で打ち切りです……〉(〈〉はすべて訴訟記録より一部抜粋) ◆2人の従業員が解雇された理由 デヴィ事務所のベテラン従業員2人(以下、Aさん、Bさん)が、デヴィ夫人から「打ち切り」という”解雇通告”のメールを受け取ったのは、’21年2月14日のことだった。これに対してAさんとBさんは労働審判を提起。ここからデヴィ夫人と元従業員2人の裁判合戦が始まったのである。 2人の従業員が”解雇”された原因は、デヴィ夫人のインドネシア渡航だった。 ‘21年2月3日、デヴィ夫人のもとに訃報がもたらされる。夫人の娘婿・フリッツさんが急死してしまったのだ。若くして夫を失った娘の心情を推し量り、またフリッツさんの葬儀に参列するため、デヴィ夫人は翌日4日にインドネシアに渡航した。しかし、’21年2月といえば、新型コロナが世界的に猛威を振るっており、日本は流行の第三波の真っただ中、インドネシアは1日1万人以上の感染者が出ていた。 このような状況に加えて、従業員たちは「フリッツさんが新型コロナで亡くなったのではないか?」という疑念を抱いており、「夫人が新型コロナに感染して帰ってくるかも」と動揺した。また、デヴィ夫人の住居がデヴィ事務所と同じ建物内にあり、従業員たちは仕事をするうえで夫人との接触は避けられなかった事も危機感を増大させた。そこで、従業員らは協議して、デヴィ夫人の帰国後2週間は事務所に出社せず、在宅での勤務を行う方針を決定。2月12日に帰国し事務所に着いたデヴィ夫人にその方針を伝えたのであるが……。 〈あなた、何言ってんのよ。私は、病原体でもなんでもないわよ〉 と夫人は激怒したという。さらに、 〈悪いけど、あなたたちよりも、全然感染するリスクは、私の方が少ないわよ。あなたたちの方が、電車に乗ってくるし、バスに乗ってくる。(中略)おかしいわ、あなた。そんなに怖かったらこなくていいですよ。もう面倒くさい。私、こんなに不愉快な思いするの大嫌いだから〉 などと反撃され、従業員たちはあまり言い返せなかったようだ。この出来事があったのち、現在デヴィ夫人と訴訟中のAさんは一緒に働いた他の従業員たちにグループLINEでこんな事を伝えている。 〈夫人はコロナが怖いか! と怖がる私達を変人のように言っていましたが、実際コロナは死に至る病だと認識していますので、かかりたくないのは皆の共通した意見だと思って話をしていました。(中略)皆様にはもうお会いすることはないと思います。(中略)皆さま、お世話になりました〉 そして、その翌々日の2月14日にAさん、Bさんに、前述したようなデヴィ夫人からの”解雇通知”メールが送られてきたのである。 ◆「支払い義務を認める」 この騒動から約1年後の‘22年3月、”解雇”されたAさん、Bさんはデヴィ事務所に対して労働審判(労働関係に関するトラブルを解決するための裁判所の紛争解決制度)を起こす。そして同年8月に労働審判委員会は、デヴィ事務所が2人それぞれに、 「解決金として300万円の支払い義務があることを認める」 という判断(通常の訴訟でいう判決)を下した。しかし、デヴィ事務所はこの判断に異議を申し立てたため訴訟に移行。この訴訟は現在も続いている。 ちなみにこの労働審判では途中で、解決金300万~400万円という調停案が出された。原告である2人の元従業員は調停案に応じる意向だったが、デヴィ夫人は、 〈調停案の内容について到底納得できるものではない様子であった。被告( デヴィ夫人)側からは解決金40万円程度であれば支払うとの提案がなされた〉 こうした理由で調停に応じなかったデヴィ夫人は、反撃に出た。この元従業員Aさん、Bさんを被告として2つの裁判を起こしたのである。 <その1> 元従業員Aさん、Bさんが主導して、他の従業員らに違法な共同絶交(法的には「秩序や慣習を乱したメンバーを集団で排斥すること」)の合意を形成させ、(デヴィ事務所への)出勤を拒否させたーなどの理由で、’22年7月、デヴィ夫人がAさん、Bさんを東京地裁に提訴 <その2> 元従業員Aさん、Bさんは、デヴィ夫人が新型コロナウイルス感染症の感染者またはその濃厚接触者であると思い込み、他の従業員を扇動して出社を妨害し自身も出社しなかった。また、著しく相当性を欠く(’22年3月の)労働審判の申し立てをし損害を被ったーとして、’23年4月、デヴィ夫人個人ではなく、デヴィ事務所がAさん、Bさんを東京地裁に提訴 そして、この訴訟の結果は、以下である。 <その1> 一審デヴィ夫人側が敗訴(’23年11月)→控訴審も敗訴(今年5月) <その2> 一審デヴィ夫人側が敗訴(今年8月22日) このようにデヴィ夫人は負け続けているのだ。とはいえデヴィ夫人にも当然言い分はある。 〈私が疲れ切って帰ってきて、たった一人になって、スーツケースの中身を片付ける力もなく、翌日早朝から犬のおしっこやうんちの世話をし、散歩に出し、6か所のブルーシート(犬用)のお掃除をして替え、スズメの餌替え、リビングとキッチンにバキュームをかけて床拭き、10匹の犬のごはんをあげ、途中に盛んにかかってくる電話をとることが、当時81歳の人間にとってどんなに大変か、想像できなかったでしょうか? あまりに非人道的で、利己主義的な行為です〉 ◆従業員は誰も出社しなかった 帰国の翌日と翌々日は従業員は誰も出社しなかったので、デヴィ夫人は広壮な自宅兼事務所に愛犬10匹と共に一人放置されることになった訳である。 この件についてFRIDAYデジタルからデヴィ事務所に対して以下のような趣旨の質問を文書で送った。 「個人で起こした裁判は高裁で敗訴が決定し、法人の裁判は一審で敗訴。また労働審判においても、2人に対して300万円ずつ支払うよう判断が下されているが、デヴィ様のご見解をお教えいただきたい」 「デヴィ様は2人の従業員に対して解雇を示唆する発言(令和3年2月12日)をし、メール(同2月14日)を送っておりますが、2人のどのようなところ、行動が許せないと思ったのか」 これに対して、訴訟の存在は認めたものの、以下の回答にとどまった。 「継続中の訴訟に関する事項なので取材はお断りし、コメントも差し控えます」 デヴィ夫人もすでに84歳。もう少し丸くなってもらいたい気がするのだが……。 取材・文:酒井晋介
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