「山のように」盛り上がった二頭筋で魅せワールドカップ優勝!クラシックボディビルの頂点に立った33歳のこだわりは「誰かの楽しみになれば」
12月17日(火)から19日(木)の3日間で東京・有明コロシアムにて行われている『IFBB 男子ワールドカップ』。17日(火)に行われたクラシックボディビル175cm以下級で井上貴文(いのうえ・たかふみ/33)選手が優勝に輝いた。さらにそのまま180cm以下級、180cm超級の優勝者と競い合うオーバーオール戦も制し、クラシックボディビルの頂点に立った。 【写真】井上貴文選手の「山のような」上腕二頭筋
「正直、驚きました。いつも競り合う小澤(亮平)選手や白井(寛人)選手が相手ですから、勝てるか不安だった部分もあります。でも、やるからには本気でぶつかる。それがライバルとしての礼儀だと思っていました」 井上選手は福岡県で活動するトレーナーであり、昨年は『JBBF西日本ボディビル選手権』でも優勝に輝いた日本トップレベルの選手だが、競技への取り組みは意外にも軽やかだ。「僕はボディビルでタイトルを狙うというよりも、『誰かの楽しみ』になればいいと思っています」と語った。 「例えば、おじいちゃんやおばあちゃんたちが『井上くん、この前の大会すごかったね』なんて居酒屋で話題にしてくれたらうれしいです。僕は人と関わるのが得意じゃないけど、ボディビルを通してそういう形で人に楽しんでもらえたら、それで十分なんです」 トレーニング面では、上腕二頭筋やウエストの絞りなど身体の完成度への追求もさることながら、「握る」という動作への独特なこだわりも持っていた。 「アームレスリング選手としての経験が今のトレーニングに生きています。特にバーベル・ダンベルの握り方や神経の支配について考えることで、どの種目でも力を最大限に引き出せるように工夫しています」 長い減量や厳しいトレーニングを経て挑んだ今シーズンの締めくくりとなった大会。井上選手は優勝の喜びをこう振り返る。 「試合が終わった瞬間に『ボディビルをやっていてよかった』と思いました。来シーズンも引き続き頑張りたいですね。そのためにもしっかりと生活基盤を整えて、競技と仕事を両立させていきたいと思っています」 競技成績にとらわれ過ぎない井上選手のスタイルは、根源である健康としての「フィットネス」の重要性を示しているようだった。
【JBBFアンチドーピング活動】JBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)はJADA(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構)と連携してドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体で、JBBFに選手登録をする人はアンチドーピンク講習会を受講する義務があり、指名された場合にドーピング検査を受けなければならない。また、2023年からは、より多くの選手を検査するため連盟主導で簡易ドーピング検査を実施している。
取材:FITNESS LOVE編集部 撮影:中原義史