「アパマンショップ」運営企業が非上場化へ。“賃貸管理業界の大再編”が起こる可能性も
中小企業コンサルタントの不破聡と申します。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、「有名企業の知られざる一面」を掘り下げてお伝えしていきます。 「アパマンショップ」を運営するAPAMANが、株式の非公開化を目指すTOB(公開買付)を実施すると発表しました。これはMBO(経営陣による買収)と呼ばれるもの。APAMANはこの非上場化を機に子会社を整理し、新たな組織体制を構築する見込みです。 ⇒業績は堅調も、成長性に欠ける
「賃貸住宅仲介業店舗数No.1」企業の正体
賃貸住宅を探した経験のある人であれば、「アパマンショップ」に足を運んだ人やホームぺージの賃貸物件情報を目にしたことがあるでしょう。公式ホームページには、「賃貸住宅仲介業店舗数No.1」とあります。公開物件数は240万を超えており、賃貸住宅の仲介会社としてよく知られた存在です。 ただし、APAMANは仲介をするだけの会社ではありません。物件のオーナーから管理の委託を受けて入居者を集め、集金、滞納督促、清掃、保守、契約更新業務など賃貸住宅の煩雑な管理業務全般を行っています。従って、入居者からは仲介手数料、オーナーからは管理手数料を徴収する仕組み。これは一般的な賃貸管理事業者が行っていることと同じです。 「アパマンショップ」は9割以上がフランチャイズ加盟店で運営されています。APAMANは加盟店に対してクラウドシステムや店舗運営ノウハウを提供し、加盟料やロイヤリティも受け取っています。
業績は堅調も、成長性に欠ける
また、賃貸住宅だけでなく、社宅や駐車場なども扱っています。 展開する事業は3つ。賃貸管理の手数料収入を中心としたPlatform事業、FC加盟店のロイヤリティやクラウドサービス利用料のTechnology事業、コインパーキングなどのその他です。 足元の業績は決して悪い会社ではありません。2024年9月期第3四半期の売上高は、前年同期間比0.6%減の340億円、営業利益は同28億円でした。今期は通期の売上高を前期比0.5%増の460億円、営業利益は同3.8%増の39億円と予想しています。 コロナ禍の営業制限で2020年9月期の営業利益率が1.9%まで低下したものの、その後持ちなおしました。営業利益率は3期連続4%台で推移する見込みです。 しかし、成長性があるかというと話は別。今期が予想通りに着地しても、3期連続の売上平均成長率は1%ほど。売上高は8期連続400億円台で停滞することになります。