「アパマンショップ」運営企業が非上場化へ。“賃貸管理業界の大再編”が起こる可能性も
管理戸数は「1年で2000近く減少」
売上高が伸び悩んでいる主要因になっているのが、賃貸管理戸数の減少。2024年6月末時点の管理戸数は8万8260。前年から1842も減少しました。 賃貸住宅の管理業務は差別化を図りづらく、価格競争に陥りがち。 管理の依頼を受けるのは、ローンの出し手である金融機関や不動産物件の購入先の紹介といったケースが多く、必然的に信頼が厚い大手が有利にもなります。事実、この分野の最大手である大東建託は、2024年3月末時点の管理戸数が125万。1年で3万戸上乗せしています。 しかも、日本銀行が金利を引き上げたことで、不動産投資の冷え込みも予想されます。賃貸物件への投資意欲が減退すれば、更なる管理戸数減少も視野に入るのです。中堅の賃貸管理事業者には逆風が吹いていると言えるでしょう。
子会社の再編で「事業の選択と集中」を狙う
今回のAPAMANのMBOには大きな特徴があります。子会社の再編を行うのです。 賃貸管理や駐車場などに関連する事業の大部分を、日本産業推進機構という投資ファンドに売却します。日本産業推進機構は独立系のPEファンド。過去にマンガ雑誌などを手掛けるぶんか社の買収、鴨川グランドホテルの非上場化の支援などを行ってきました。 APAMANは今回のMBOで賃貸管理事業の大半を投資ファンドに手渡し、フランチャイズ加盟店のサポート業務やクラウドシステムの提供などを行うTechnology事業を引き続き運営することになります。 Technology事業の業績は堅調。2024年9月期第3四半期の売上高は前年同期間比1.8%増の59億円、営業利益は同37.3%減の2億円でした。DX化推進による減価償却費が嵩んで減益となっているものの、売上高は堅調。2023年9月期の同事業の売上高も前期比1.7%の増加でした。今後のAPAMANは「アパマンショップ」のフランチャイズを主軸とし、DX化支援で企業価値の向上を図ります。事業の選択と集中を行うのです。