真っ黒なルーは石炭をイメージ、大井川鐡道の蒸気機関車カレー
大井川鐡道(静岡県島田市、前田忍社長)が、SL車内や駅売店でレトルトカレーの販売を始めた。SLや石炭をイメージした黒カレー。大井川鐡道の駅売店では、SLの写真やデザインが入ったお菓子や飲料、土産品などが数多く販売されているが、なぜレトルトカレーなのだろうか?
大井川鐡道の駅売店などで「SL黒カレー」の名称で販売を開始したレトルトカレー。大井川鐡道と同じ静岡県内で弁当や惣菜などを手がける天神屋(本店・静岡市、有田一喜社長)とのコラボ企画商品だという。 真っ黒なルーは石炭をイメージしたものでイカ墨を利用。味は甘口で子供でも食べやすいカレーだという。8月14日より大井川鐡道の駅売店やSL車内で販売を開始した。売れ行きは上々で、9月からは天神屋店頭でも販売をしていく。 大井川鐡道は、北海道でホテル経営を行うエクリプス日高(新ひだか町、岩崎隆社長)の100%子会社として現在、経営再建に取り組んでいる。一方、天神屋は1954(昭和29)年創業の静岡県内では老舗食品会社。弁当や総菜、おにぎりなどを製造、販売し業績を伸ばしたが、コンビニ店舗などとの競合で業績が悪化、現在は県内店舗を30店まで縮小し、弁当や総菜のほか静岡ならではのおでんや黒はんぺんなどを製造、販売している。 天神屋が今年7月28日に発表したプレスリリースによれば、5月末日をもって既存株式の100%減資およびエクリプス日高を引受先とする第三者割当増資による資金調達を実施、経営陣を刷新しエクリプス日高の100%子会社として経営再建に乗り出した。
つまり今回のレトルトカレー「SL黒カレー」の製造・販売は、エクリプス日高のグループ会社として経営再建を目指す大井川鐡道と天神屋の静岡県の2社による初コラボ企画。今後、第2弾、第3弾の予定もあるようだ。 「コラボのモチーフは蒸気機関車です。大井川鐡道さんからは『石炭の黒のイメージがあるものを作ってください』と注文がありました」と天神屋担当者。「業種は違うけれど、地域や家族というお客様に対する考え方は同じだと思うので、いっしょに取り組んで静岡を盛り上げていけたら嬉しい」と話す。 初コラボの商品がカレーとなったのは、大井川鐡道駅売店ですでに販売されている他商品との競合を避ける狙いがあったものと考えられる。
エクリプス日高は今年6月に大井川鐡道の全株式を取得し大井川鐡道を完全子会社化、大井川鐡道ファンや地域から今後の展開が注目されている。新たに静岡県内の食品企業がエクリプス日高の傘下となったことで実現した今回のコラボ。大井川鐡道と天神屋が今後どのように連携して企業再生、地域再生に向けた取り組みを展開していくのか、次回コラボ商品の内容と合わせて注目される。