ロシア接続阻止せよ、スペースXと米国防総省のスターリンク共同戦線
(ブルームバーグ): 資産家イーロン・マスク氏の宇宙開発企業、スペースXが提供する衛星通信網「スターリンク」。これをロシア軍がウクライナとの戦争で不正使用するのを、米国防総省の担当官らがスペースXとの協力で阻止している。
国防総省のジョン・プラム宇宙政策担当次官補が明らかにした。退任が決まっているプラム氏はインタビューで、「ロシアによるスターリンク端末の不正使用を防ぐべく、米政府はウクライナ政府とスペースXとの協力に力を入れている」と述べた。
「現時点ではロシアの不正使用をうまく防げているが、ロシアは今後も使用を試み続け、スターリンクや他の商業通信システムを悪用する手法を見つけるだろう」とプラム氏。「この問題はこれからも続くだろうが、スターリンクとウクライナの両者と共にうまい解決策を見つけることができたと思う」と語った。
スペースXの低軌道衛星に接続する通信端末は、携帯性が高い。これをロシアが使用するのをどのような戦術や技術、手順を用いて阻止しているのかについて、プラム氏は詳しい説明を避けた。ウクライナ政府高官もコメントを控えた。
スターリンク端末は電子商取引サイトを通じてロシア国内で販売されている。販売者によれば、この技術が認可されている欧州諸国に住む人の名義で契約しているために、端末は機能しており、ロシア本土ではなく、ウクライナ内のロシア占領地などの国境付近で接続ができる。
しかし今週、前例のない接続性の問題の報告がユーザーから相次いだ。ソーシャルメディアのテレグラムでは、ある売り手がより高額なグローバルサービスプランへの移行を買い手に勧めた。こうした回避策でロシアでの不正接続が回復するどうかについて、ブルームバーグは独自に確認できていない。
マスク氏による時折好戦的で気まぐれな発言や、同氏のソーシャルメディア「X(旧ツイッター)」への投稿にもかかわらず、スペースXとの取引はうまくいっていることをプラム氏は明確にした。