〝廃棄カプセル〟イベント盛況 整理券は即完売 人気の秘密 企画者が語る「うそ偽りない」本音
コロナ禍、ガチャ売り場での出会い
黒澤さんがカプセルアートを始めたきっかけは2021年。福祉事業のコンサルタントをしている際、市場調査で東京の秋葉原でガチャガチャ売り場に行ったそうです。 「ちょうどコロナ禍真っ只中で社会全体が暗い感じがしました。しかしガチャガチャ売り場には笑顔がありました。マスク越しでもニコニコしているのがわかります。コロナ禍でも人々に喜びを与えているガチャガチャに価値を感じました」(黒澤さん)。 その売り場では、業者に頼んでカプセルを有料で回収していることを聞き、黒澤さんはカプセルを分けてもらえないかと頼んだそう。「カプセルの素材はカラフルで、新しい。もちろん商品が大事ですが、カプセルがゴミになってしまうはもったいない。何かできないか」と思ったそうです。 また、黒澤さんはガイドヘルパー(移動介護従事者)をしています。そのときに担当している方を思い浮かべてこう思いました。「もしカプセルを使いアートができたら面白い」 まずは黒澤さん自身がカプセルを使って、作品を作りはじめました。紆余曲折しながらも、会社の人の賛同を得たカプセルアートが誕生しました。 初めてイベントを開催した場所は、都内に拠点を置く、一般社団法人ビーンズの放課後等デイサービス「豆庭」です。 初めての試みだったため、イベントが上手くいくか不安だったそうです。しかし、その不安は杞憂に終わります。 「誰もやったことがないイベントでドキドキでしたが、参加している子どもたちは笑顔で、楽しそうに色を自由につけて、何とも言えないカプセルアートが出来がりました」(黒澤さん)
主催者も「いつもハイテンション」
その流れで次のイベント先を探したとき、横浜市ヤングケアラー支援事業などを行っている一般社団法人 Omoshiroとイベントを開催する機会ができました。 黒澤さんは「ヤングケアラーの子どもたちは複雑な事情を抱えていますが、カプセルアートをやってもらったら、めちゃめちゃ笑顔になり、すごい無邪気に楽しんでくれました。とにかく、みんな、すごいんです」と話します。 Omoshiro側から「こんなにも笑顔があふれ、楽しんでもらえると思わなかった」と言われたときに、黒澤さんは涙が出るほど満たされた感情になったそうです。 この二つのイベントを通じて、黒澤さんは「カプセルアートを通して、人が繋がるっていう体験ができると実感できたんです」と言います。またカプセルアートのイベントをする際に、黒澤さんは心掛けていることがあります。 「私達自身が楽しみ、ワクワクしないと、絶対に子どもたちに伝わりません。いつもハイテンションで楽しんでやっています(笑)」(黒澤さん)。