賃上げで収入増!働くべきか控えるべきか、複雑すぎて困惑する扶養における「年収の壁」
年収の壁・支援強化パッケージ
パートやアルバイトが「年収の壁」を気にせずに働けるような環境となるよう、国が後押しするものが「年収の壁・支援強化パッケージ」(令和5年10月1日からの取り組みが対象)です。 特に社会保険については、第3号被保険者から外れると、自分で加入して保険料を払うために、手取りが大きく下がります。106万円(月に8.8万円)の壁を越えると、健康保険料5064.4円、厚生年金保険料8052円、合計1万3116.4円(40歳以上65歳未満)、年に約15.7万円の支払いが発生します。 従業員のみならず、厚生年金保険料・健康保険料は労使折半であるため、社会保険に加入となれば企業の負担も増えます。 しかし、「年収の壁・支援強化パッケージ」は、社会保険加入することで従業員の手取りが減少する場合、企業が従業員の手取りを減らさない取り組みをしたときには、国から企業に労働者1人当たり最大50万円の支援がされる(キャリアアップ助成金「社会保険適用処遇改善コース」)(令和7年度末まで)ため、取り組みやすくなります。 手取りを減らさない取り組みには、「手当支給メニュー」と「労働時間延長メニュー」の2つのメニューがあります。 通常、手当が増加すればその分社会保険料の負担も増加しますが、手当支給メニューでは、社会保険適用促進手当として従業員負担分の保険料相当額を手当として支給した場合、保険料相当額までは社会保険の対象とされないため、保険料は増加しません。 一方、130万円の壁を越えた場合、社会保険の適用時業所で、加入要件を満たしていれば社会保険に加入できますが、満たさなければ国民年金・国民健康保険に加入しなければなりません。国民年金保険料だけでも月1万6980円、年収130万円の場合の国民健康保険料が年に約12.6万円、合計して年間約33万円を支払わなければなりません。 130万円の壁についての支援は、繁忙期による一時的な残業により年収が130万円以上になった場合は、事業主が一時的な収入増であることを証明することで、引き続き扶養のままでいられるというものです。 (健康保険料、厚生年金保険料、国民年金保険料は令和6年度のものです)