SNSの登場はZ世代の学生生活をいかに変えたのか 広がるチャンスと強まる同調圧力の同時性
舟津:菊池さんはたしか地方から東大を受けてこられていましたよね。 菊池:はい、そうです。 舟津:菊池さんは自分があって、それを貫けていますよね。言葉を選ばずに言うと、さっき話した思い込みに近いものを持っている。 でも、実は東大って、全国からそういう人が集まる場所でもあったといいます。空想の話でしかないですけど、菊池さんがもっと周りに合わせる人間だったら東大に来られていないかもしれない。周りに合わせることによる機会損失はあると思うんです。
私の見立てでは、高校も大学も集団化が強くなっている。多様性を謳いつつも個人の逸脱を許さなくなっているような感じがしていて。自分の信念を貫くことで生まれる可能性ってあると私は思うので、本人がそう思うなら、間違っていたとしてもいいじゃないかとも思うんですよね。同調圧力がある中で、いかに自分を貫けるかというのは重要なテーマ。 中村:偏見ですけど、むしろ昭和のほうが同調圧力が強いイメージです。大学に入って、一斉に就職して、転職せずにずっとそこで働いて、みたいな。
だから、そういうところから優れた経営者が出てきているほうが、僕はすごいなって思います。むしろ僕の周りでは転職は当たり前で、「VUCAの時代だから、自分で考えないといけない」という感じですね。サンプル数としてはありえないほど小さいのは承知のうえで、我が強いやつとか、むしろ起業したい、みたいなのばっかりなので。 ■チャンスを発揮する環境は整っているが… 舟津:今のご指摘はすごく重要だし面白いところでもありますね。たしかに、昭和に比べると、選択肢や手段は今のほうがずっと豊かではあるんですよね。なので、中村さんがおっしゃっているように、少数の飛び抜けた人とか、外れ値的な能力を発揮できる環境にはなってきている。
中村:そうだと思います。 舟津:高校生でもYouTuberになれるっていう話もそうだし、学生起業だってそうです。ほとんどないとはいえ、田舎の高校生がDMを送ってすごいチャンスをもらう、なんてことも可能性としてはある。 中村:友人にいますね。びっくりしたんですけど、九州でそういうチャンスをつかんで起業していました。 舟津:外れ値的な個人に対するフレキシビリティは、ものすごく上がってきている。これは間違いないんですよね。