「検証・安倍政権」<外交編>活発だった首脳外交、中韓関係が課題
第2次安倍政権が成立してから約2年になります。この間の外交活動はきわめて活発でした。安倍首相が訪問した国の数は2014年9月の時点で49か国にのぼり、歴代トップとなりました。しかも、外国訪問の頻度は1か月あたり2、3か国と歴代の首相に比べ抜群の高さでした。スリランカ訪問の後も、ニューヨークの国連総会、ミラノのアジア欧州会合(ASEM)、北京のアジア太平洋経済協力会議(APEC)と続き、中国が50か国目の訪問国となりました。安倍首相にとって文字通り席が温まる暇はありませんでした。
地球儀を俯瞰する外交
首脳外交は簡単でありません。日程の制約は大きく、また、首脳にかかる体力的な負担は非常に重いですが、数々の困難を克服してこれだけ活発に外交活動を展開してきたことは特筆してよいでしょう。 安倍首相の外交は「地球儀を俯瞰する外交」と言われています。「俯瞰」とは高いところから全体を見渡すという意味です。日本として米国やアジアの近隣諸国との関係を重視していくのは当然ですが、特定の国、地域に限定することなく地球規模で各国との友好関係増進に努めてきたからです。 日本が厳しい国際環境に置かれている中で、安倍首相は積極的な安全保障政策を講じるとともに、日本としてはあくまで平和に徹し各国との協力関係を促進する「積極的平和主義」であることを強調しています。日本は、アジアのみならず世界において大きな責任を有しています。各国は日本が責任ある立場で、戦略的に積極的な施策を講じることを理解し、歓迎しています。Japan is back、つまり「日本が戻ってきた」という言葉で日本の姿勢を評価する研究者もいます。
日米関係
日本外交にとって、米国との関係はこれまでも、また今後もきわめて重要であり、安倍政権は米国の信頼を取り戻すことを重点施策の一つと位置付け、国の内外でその方針を実行に移してきました。東シナ海での協力は一つの例です。2013年秋には、日米両国の外務・防衛相が安全保障面での協力のあり方を協議するいわゆる「2+2」が久しぶりに開催されました。今後日米両国は、厳しい国際環境に対応するために防衛協力のあり方を示す新しい指針(ガイドライン)の策定に向け協議を継続していくことになっています。