落合GMのコストカットは21世紀型球団経営なのか?
■厳冬と表現された中日の契約更改 中日の落合博満GMが主導で行っている契約更改は、厳冬と表現され、その合計減額がいくらになったのかがメディアの焦点となっている。大事なはずのチーム生え抜きの井端弘和を退団に追い込んだ2億3000万円の削減を筆頭に、吉見一起が1億1500万円、和田一浩が8000万円、荒木博雅が6800万円、浅尾拓也を5500万円、山井大介が2000万円という大口もあって、締めて5億円に届きそうな勢いである。 星野監督に聞いた 楽天日本一の理由 野球協約の限度額25%(1億円以上の選手は40%)いっぱいの金額を提示されても、一人として保留せずにサインするに至っている。今季チームはBクラスに低迷した。まさに信賞必罰を実行した厳冬更改である。中日球団の赤字を本社が広告費として補填している金額が、年間6億から10億円と言われているから、その赤字の大半を落合GMの豪腕で消したことになる。 ■専門家の評価は「経営合理性が高い」 果たして、この落合GMの手腕を、どう評価すべきなのだろうか。 Jリーグやプロ野球の球団経営に詳しいスポーツ総合研究所の広瀬一郎・所長は「中日の詳しい内部事情は知らないので一般的なプロスポーツ経営学の観点から見て」という前提の上で「他の球団がやりたくてもやれなかったことを落合さんがやった。経営合理性が極めて高い契約更改だ」と、高い評価を与えた。 「プロスポーツの経営で一番のリスクは選手人件費です。そこが球団経営を圧迫することになります。しかしプロ野球界では、『上げる時は大きく下げる時は小さく』という常識のようなものがまかり通っていて、私は経営学上、疑問でした。これまでは落合さんのような手法はタブーでしたから。本来は50%を超える年俸アップがあるならルールに従って25%のダウンはあって当然なんです。しかし、日本のプロ野球界は、選手がパワーを持っている。契約更改も情緒的で悪い時に下げるということがなかなかできない。落合さんだからこそできたことかもしれないが、非常に合理的です。今回、落合さんがやったことは21世紀の球団経営のデファクト(一般的な基準)になるかもしれません」