次に売れるクルマは何か? どん底の日産が復活するための道筋
ハイブリッドは経済性ではなく“安心”を買うもの
HEVやPHEVは注目されているが、プリウスやノートのようなハイブリット専用車以外では、燃費の良さは車両価格の差を埋めるほどの節約にはつながらない場合が多い。 ユーザーもそんなことは承知、というかそこまで考えていないことが多い。ユーザーがHEVを選ぶ理由は、それほど深刻ではないのだ。EVの不自由さを知っている人も知らない人も選べるのがHEVという選択肢であり、燃料価格の変動で不安になりたくない人が選ぶケースが多い。よってハイブリッド人気は、しばらく続くであろう。 そういった意味では、現在の乗用車登録台数ランキングは大きく変動することはなさそうだ。今後、全固体電池のEVが登場しても、リセール性と充電インフラの問題が解決しなければ、一時的な人気に終わるであろう。 今後、残念なことに日本国内の自動車市場は縮小し続ける可能性が非常に高い。それは少子高齢化、車齢(新車登録してからの年数)の延長、外国人労働者の増加という3要素により、新車がますます売れなくなっていくからだ。免許返納を迫られる高齢ドライバーに、新車を売りつけるようなアコギなまねはできない。人口減少で新車販売は縮小していく。 それに対して外国人労働者は増えているが、待遇は非正規労働者レベルであり、新車を買うような余裕はなかなかない。そもそも日本車の品質は最高と刷り込まれているお国柄の影響もあって、多くの外国人は中古車を購入して賢く利用していくだろう。よって、新車を購入するようなユーザーは減る一方なのだ。 そうなってくると、新たな需要はないかと模索することになるのだが、希望の光は高齢ドライバーが免許を返納しなくても運転可能なモビリティをつくることしかない。 それは既存の自動車メーカーが担わなくてもいいビジネスだ。国内生産の減少や電動化へのシフトにより受注が減っている部品メーカーや、ベンチャーがマイクロEVを手掛けるのが正しい方向性といえるだろう。 バスなどの公共交通機関に対し、補助金を積み増すことも大事だが、日本の機械産業を支えて新たな需要を生み出すことも、これからの日本経済を考えれば重要なことではないだろうか。 (高根英幸)
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