集中力が続かない→行動経済学で解決可能!…仕事・勉強の「生産性を高める」簡単な方法
「集中力」は仕事や勉強の生産性を高めるために必要不可欠な要素ですが、人間の集中力は限りあるもの。ここぞという場面で「もっと集中力があれば…」と悩んだ経験のある人も多いのではないでしょうか。そこで、限りある集中力を最大限発揮し、生産性を高める“意外と簡単な方法”について、橋本之克氏の著書『世界最先端の研究が教える新事実 行動経済学BEST100』(総合法令出版)より、詳しくみていきましょう。
集中力は有限の資産…持続時間には“限界”がある
仕事や勉強に追われる多くの人々にとって、「集中力」は重要な関心事です。集中すれば、短期間で効率的に作業を終わらせることができます。昔は「頑張れば、いくらでも集中できる」といった根性論もありました。 ところが実際は、集中力は人間がもつ有限の資産です。このことを英国の心理学者ノーマン・マックワースは科学的に証明しました。人が持続して集中できる時間に限りがあることを示す実験を行ったのです。 実験の方法は対象者が2時間、時計のような実験装置を見つめ、針が2秒分ジャンプするのを見つけると手元のスイッチを押すというものです。その行動を観察すると約30分経過した頃から見落としが急に増えます。 つまり、集中力の持続は30分が限界なのです。 一方、高い集中力が必要な仕事は15分が限界という説もあります。例えば国際会議での同時通訳は3人が1組となって、15分ごとに交代するそうです。 この集中力を高める方法として、適度な運動が良い、睡眠不足が悪影響を及ぼす、好奇心が強過ぎると良くないなど様々な説があります。しかしながら、集中力を強化する決め手となる方法はありません。その結果、手っ取り早く「脳機能サポート」などと銘打ったサプリやドラッグに手を出す人もいるようです。 米国などでは、ベンチャー企業で働くビジネスパーソン、学生などの一部でスマートドラッグの利用が広がっています。イギリスの調査会社Global Drug Surveyによる世界最大規模の薬物調査の結果、2015年には米国の回答者の約20%、2017年には約30%が、記憶力や集中力を高めるために、スマートドラッグに属する処方薬を使っているという結果が出ました。 一言でドラッグと言っても、栄養補助食品のサプリであれば、使用法を理解して大量摂取を避ければ大丈夫だと言われています。 問題はより強力な処方薬です。ADHD(注意欠如・多動性障害)や睡眠障害などの治療に使われる成分を含んだドラッグを購入できるサイトが米国などにあるのです。米国内でもこれらを通じて医師の処方箋なしで処方薬を入手、利用することは違法です。 ただ、発覚して処分されるケースは少ないようです。当然、日本への個人輸入や国内での所有は違法ですが、税関でのチェックをすり抜けるケースがあると言われています。危険な処方薬を服用すると依存に陥り、うつや幻覚などの副作用も起きかねません。いくら集中力を高めたくても、健康を損ねてしまえば意味がありません。