「一本松」の劇、後世へ 地元の小学児童ら演じる
東日本大震災の津波に耐えた「奇跡の一本松」が立つ岩手県陸前高田市の小学校で一本松を題材にした劇が作られた。「震災の記憶を絶やしたくない」と児童らが熱演。脚本を書いた秋吉幸江教諭は「一本松を除き、7万本もの松が津波で失われた。それでも古里への思いは変わらない」と話し、後世に継承されることを願う。 全校児童約40人の市立横田小。劇は昨年10月、当時6年に在籍した全5人の児童が学習発表の場で演じた。5人は震災を直接経験しておらず、住民らの話を聞き集めてイメージを練り上げた。 一本松を含む高田松原は江戸時代、潮の被害を防ぐため多くの松が植えられ、景勝地として親しまれた。劇は歴史を紹介しながら震災の場面を描く。 一本松役の児童が「根っこに力を入れろ」と声を張るが、一本松以外は津波に流されてしまう。残された松は「みんなわしを置いてっちまって」と悲しみに暮れる。震災後、一本松を見るため多くの人が訪れた。「みんなも大切な人を亡くしていた。その人たちと一緒に泣いた」。一本松は津波の恐ろしさを伝えていこうと決意する。