AIが実現するカイゼン 生産効率化だけでなく地域貢献も トヨタ自動車東日本 宮城を拠点として12年
仙台放送
自動車工場では機械化やAI技術の導入が進み、効率的な量産態勢を整えています。宮城県大衡村に本社を置くトヨタ自動車東日本では、こうした効率化を設立当初から進めてきていて、その技術を教育の現場、そして地元の別の企業へと伝えています。 トヨタ自動車東日本の宮城大衡工場では現在、約1700人が車両の製造にあたっていて、5つの車種合わせて1日約700台を生産しています。この工場では作業工程の効率化が徹底されていて、工場内は自動で物を運ぶ機械などが行き交っています。 トヨタ自動車東日本 組立課 小林隆博課長 「この機械は工程員の負担を取るために、手元まで部品が車の車両に届けられる改善をしております」 車の天井部分などを取り付ける作業は以前、作業員が部品を持ち運んで取り付けていましたが、今は専用の機械で手元まで部品が届けられます。 トヨタ自動車東日本 組立課 小林隆博課長 「やはりですね、これから年齢の高い方や女性の方も誰でも働ける。より良く人の負担がなくなるような、そんな工場を目指しております」 トヨタ自動車東日本が今、力を入れているのはAI技術の活用。こちらは製造された車両の検査を行う工程です。その検査ラインのタイヤの高さの位置にはカメラが設置されています。 トヨタ自動車東日本 検査課 金子夏樹さん 「しゃがみ作業ですね、しゃがんだり立ち上がったりする作業がとても大変だったと。自身の経験もそういうのがありましたので、タイヤサイズを自動で見つけてくれてモニターに表示してくれると、そういったAIを作りました」 検査課の金子夏樹さんは、タイヤサイズを判別するAIを自ら開発しました。今では車両の外装品が揃っているかなどもAIによる判別で確認しています。 トヨタ自動車東日本 検査課 金子夏樹さん(Q、AI技術には元々詳しかった?) 「本当に素人から始めて、ゼロから始めたといった形で、何も知らないところからのスタートだったんですが、失敗をこう積み重ねてどんどん成功していったといった形です」 金子さんの開発したAIは今年、創意工夫が認められ文部科学省から表彰も受けました。 トヨタ自動車東日本 検査課 金子夏樹さん 「上司の方からもですね、やはり余力を作るみたいな話はありまして、その余力を作ることで同僚たちもやはり仕事が楽になると。それによって、またさらなる改善というんですか、余力で作った空いた時間でより上を目指していけると、そういった形を目指しています」 大和町内の小学校で5年生の児童たちが取り組んでいるのはプログラミングです。トヨタ自動車東日本では、2020年から大和町内の小学校でプログラミング教室を行っていて、今年からは黒川高校電子工学科とも連携して実施しています。指導にあたった安味憲一さんです。児童たちは、安味さんや高校生からのアドバイスを受けながら、自動車のロボットの動き方や光、音などをプログラミングし、スタート地点からゴール地点を目指しました。 トヨタ自動車東日本 TPS推進部AI推進グループ 安味憲一さん 「このプログラムって、きょうは何かおもちゃを動かしたみたいな感じもあるかもしれないけど、実際にこんなふうに使って、将来的には車だったりとか工場の設備だったりを動かすところまでどんどんつながっていくので、こういう可能性があるよということをちょっと知っていただいて、自分のこれからの選択の1つに入れていただければなと思います」 参加した児童 「プログラミングをするのは難しかったけど、ちゃんと課題を達成できてよかったです」 黒川高校の生徒 「それぞれが個性が出て、かつ飲み込みが早かったので、指導者としては結構助かったところ。またこういう機会があれば、また新しく違う目標を立てて、スタートからゴールに向けて頑張っていきたい」 トヨタ東日本では教育現場だけではなく、県などと連携して異業種の地元の企業などにも自社のAIの技術を伝えています。中にはトヨタ東日本のAIの技術をもとに、自社の課題を解決するAI技術を開発した企業もあるということです。大衡村に工場ができて12年。トヨタ東日本では今後も人にやさしい工程作りを進めていきたいとしています。
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