パリオリンピック男子バスケ フランスの専門誌編集長がホーバスジャパンを総括「戦う術をもっと学んでいく必要がある」
【八村、渡邊、河村以外に気になった選手】 ── 河村選手のどの部分に惹かれましたか? 「河村のエネルギー、モーター(機動力)、クロスオーバー、シュート......好きなところはたくさんあります。河村はとても小さなガードですが、ゲームにインパクトを及ぼしていました。彼はインパクトを与えるだけでなく、試合を支配することだってできます。リールでの河村は、実に支配的でした。『毎試合20得点を奪える』と思わせてくれる選手でしたね。 あと、吉井裕鷹(SF/三遠ネオフェニックス)についても触れたい。オリンピック前は彼のことも知りませんでした。目立った選手ではなかったですが、私は彼の存在感が好きです。ディフェンスでフィジカルにプレーすること、相手に圧をかけること、コートのどこにでも現れること、リバウンドに飛び込むこと......彼はどんな小さなことでもチームのために、身を粉にしてプレーしていました」 ── 日本はフランスとの試合で、勝利にあと一歩まで近づきました。キャスビルさんはどのように見ていましたか? 「試合前、日本が勝つとは思っていませんでした。あなた(筆者)にも試合前に『今のフランスチームは数年前ほどいいとは思わない』と言いましたが、それでもフランスは日本に勝つと思っていました。 それはフランスに、高さでアドバンテージがあるからです。208cmのジョシュ・ホーキンソン(C/サンロッカーズ渋谷)ひとりで224cmのビクター・ウェンバンヤマ(PF/サンアントニオ・スパーズ)や216cmのルディ・ゴベア(C/ミネソタ・ティンバーウルブズ)、206cmのマティアス・ルソール(C/パナシナイコスBC)といったNBA・ユーロリーグのトップセンターたちを相手にするのは厳しいと思っていましたから。 ただ、先ほども答えたとおり、日本はいかに強みを生かすかにフォーカスし、試合のペースを握ったのは日本だと思います。ゲームが経過するにしたがって、フランスの選手たちの自信が減っていく様子が見てとれました。対して、日本の選手たちは得点するたび、あるいはポゼッションを取り返すたび、元気よく声を出していました。 これは女子日本代表にも言えることです。日本はコート上で気持ちを見せることができるチーム。この試合では、アイデンティティを探している最中のフランスと、どういうバスケットがしたいのかがわかっている日本で、非常に対照的でした。