初の代表選出、FW工藤の心の成長
ザッケローニが評価「成長をみせてくれている」
日本サッカー協会は23日、ブルガリア代表との国際親善試合(30日@豊田スタジアム)とオーストラリア代表とのW杯アジア最終予選(6月4日@埼玉スタジアム)に臨む日本代表メンバー26人を発表した。 3月のヨルダン代表戦を負傷欠場したMF本田圭佑(CSKAモスクワ)とDF長友祐都(インテル)が復帰を果たした一方で、23歳のFW工藤壮人(柏レイソル)が初選出。Jリーグで活躍する選手をなかなか招集せず、ヨーロッパ組を中心にメンバーをほぼ固定しながら、慎重にチームを作り上げてきたアルベルト・ザッケローニ監督は、「若くて成長を見せてくれている選手、成長を続けている選手に関しては個人的にも非常に注目している」と工藤を抜擢した理由を説明した。 工藤はレイソルの育成組織から2009年にトップチームへ昇格。ブレークを果たした昨シーズンはチームトップの13ゴールをあげ、今シーズンも11試合で得点ランク2位タイとなる8ゴールを量産。Jクラブ勢で唯一ベスト8に勝ち残ったACLでも5ゴールをマークし、ザッケローニ監督の御前試合となった22日の全北現代(韓国)との決勝トーナメント1回戦でもダメ押しとなる3点目を決めている。 177cm、74kgと決してサイズに恵まれているわけではない。高さと強さでは194cmのハーフナー・マイク(フィテッセ)や183cmの前田遼一(ジュビロ磐田)の両FWの後塵を拝するし、特筆するほどのスピードがあるわけでもない。レイソルのネルシーニョ監督は工藤をこう評したことがある。 「自分に厳しく、規律を重んじ、謙虚に頑張る姿勢。それらを貫いてきたことで今、結果が出ている。もともと決定力のある選手だが、多くの試合に出て、試合ごとに学ぶ教訓を次に生かしてきた。若い選手だが急激なスピードで成長して、成熟してきている」。 最大の武器を具体的に表現すれば、ゴールへの執念となるだろうか。チーム事情から2列目を任されることが多い今シーズンも驚異的な運動量で相手の最終ラインの背後を狙い続け、どんなに苦しい体勢でもボールを的確にとらえてゴールにねじ込む。 工藤自身は「ゴールまでの絵を描いている」と表現したことがある。フィニッシュのシーンから逆算して、ゴール前の混戦地帯におけるベストのポジショニングを瞬時にして計算できる能力もまたゴール量産をアシストしている。 日本サッカー協会の原博実技術委員長は工藤の成長ぶりをこう絶賛している。「点を取るだけでなく献身的に何度も前線へ飛び出すし、しっかりと守備もしている」。