料理人でもある陶芸家が考えた、江戸時代から続く窯元の口付黒鍋。【今日の逸品】
〈土楽〉の口付黒鍋
カーサ ブルータスの人気企画「10選」シリーズから、こだわりの逸品をジャンルレスに日替わりでご紹介します。 【フォトギャラリーを見る】 三重県の伊賀で採れる伊賀土は、大昔の亜熱帯期に琵琶湖の底に堆積していた、つまり有機物をたくさん含む粘土。この土を焼いてつくる土鍋は、焼成でできた小さな穴によりいったん温まると火からおろした後も冷めにくく、弱火でことこと煮込むのと同じ状態を保つのが特徴だ。 そんな“土鍋土”の産地・伊賀の丸柱で江戸時代から続く窯元が〈土楽〉。八代目の福森道歩による口付黒鍋は、ろくろ成形による温かみのあるフォルムと、料理が映える艶やかな黒色で幅広い世代に愛されている。サイズは4種類あり、中でも人気なのがひとり鍋にちょうどいい七寸(21cm)鍋。実は作り手の福森は、調理専門学校を卒業し、京都の大徳寺龍光院に入って料理を担当していたという料理人。『ひとり小鍋』(東京書籍)という著書もあるほどで、この鍋には料理人の知恵や楽しみ方の提案もつまっている。 公式サイト
photo_Masaki Ogawa text_Masae Wako stylist_Makiko Iwasaki