ニュースもインフルエンサーから。「メディア離れ」のリアル
大きいインフルエンサーのジェンダーギャップ
ジェンダーギャップもかなり興味深い点として挙げられます。インフルエンサーの約63%が男性で、30%が女性、残りはノンバイナリーもしくは研究者が性別を特定できなかったそうです。 TikTokは女性インフルエンサーの割合が45%で最も高いものの、男性も50%と大きな割合を占めています。ジェンダーギャップが最も大きかったのはYouTubeで、インフルエンサーの68%が男性で、女性はわずか28%しかいないとのこと。
若者の方がSNSから情報ゲットする傾向
情報を得るフォロワーの世代間ギャップも大きかったようです。 成人全体では21%がソーシャルメディアのインフルエンサーから定期的にニュースを得ていると回答していますが、その中でも18~29歳の若者が37%と最も多く、30~49歳では26%になっています。一方で50~64歳では15%、65歳以上になるとたった7%まで数字は下がります。
右派インフルエンサーが優勢
調査対象になったインフルエンサーの27%が右派。左派は21%で、残りのインフルエンサーは政治的立場を明確にしていませんでした。ちなみにTikTokは左派寄りのインフルエンサーが28%、右派寄りが25%と、左派が右派を上回った唯一のプラットフォームでした。 また、インフルエンサーの約77%は過去にニュース組織と関わりがなく、23%は何らかの形で伝統的なニュースメディアに雇用された経験があるそうです。 そして興味深いことに、政治的な立場をはっきりさせない傾向が最も高かったのはこの23%だったのだとか。いろいろ忖度しているのかもしれないですね。
日本でも伝統的メディア離れ?
日本でも、東京都知事選や衆議院解散総選挙、兵庫県知事選で、SNSによる発信に力を入れる候補者が選挙戦を優位に進める傾向が見られるなど、伝統的なメディア離れが起こっている印象がありますね。 実際、モバイル社会研究所が今年5月に公表した世論調査では、10~30代の60%以上がソーシャルメディアでニュース情報を得ており、テレビを上回っています。特に、Xを利用している10~30代の6割近くがXでニュース情報に触れているとのこと。若い世代のテレビや新聞などの伝統的なニュースメディア離れが目立ちます。 また、新聞通信調査会が今年行なった世論調査では、インターネットニュースを見る際に「出所を気にしない」が全世代平均で54%と「気にする(46%)」よりも多く、18~19歳を除くすべての年代で過半数を超えています。出所がどこであれ、情報の真偽を信頼できるソースで確認すれば問題ありませんが、鵜呑みにしがちな人は、意図的に誤情報を発信されるとヤバそうですね。 アメリカも日本も、発信する側と受信する側、双方の情報の扱い方に危うさを感じます。デジタル時代の情報収集はこれからどう変わっていくのでしょうか。 Reference: モバイル社会研究所, 公益財団法人 新聞通信調査会
Kenji P. Miyajima