水の国・熊本でととのえる「サ旅」いかが 阿蘇の伏流水や火山岩…「西の聖地」などでPR
豊かな水資源を誇る熊本市は、サウナ愛好家を全国から呼び込み、さらには移住につなげようと、サウナを楽しむ旅「熊本サ旅」を提案している。愛好家に「西の聖地」と名高い同市のサウナ施設「湯らっくす」などで3月にイベントを開き“水の国・熊本”をアピールした。 【写真】全国のサウナーから支持される「湯らっくす」の熱波師・ケビン福永さん 3月2日、湯らっくすに九州各地や関東圏などからサウナー(愛好家)8人が集まった。同施設は温度や湿度などが異なる3種類のサウナを備える。阿蘇の伏流水を使った「日本一深い水風呂」は、大人でも足が届かないくらいの深さだ。「熱波師」が熱した石にアロマ水をかけて蒸気をタオルであおぐドイツ式の「アウフグース」でも知られ、音楽や照明も駆使したショーが人気を集めている。 この日は、都内から移住して同施設で働く熱波師の松山未来さん(30)らとの座談会からスタート。昨秋完成したばかりの、ショーアウフグースを楽しめる劇場型サウナルームで、松山さんは「熊本市はコンパクトな街で住みやすい上に、安くてレベルの高いサウナがたくさんある。東京ではあり得ない」と熱弁した。 ショーアウフグースには世界大会まである。九州予選に出場予定の松山さんは「新装開店した寿司(すし)屋の成功」と題したショーを急きょ披露。寿司おけや、のれんを使ったシュールなパフォーマンスに、参加者たちからは笑いが漏れた。 西生吉孝社長も登場し、同施設が人気の「聖地」になるまでを紹介した。 債務超過状態で直面した2016年の熊本地震。西生さんは「つぶれてもいい。せっかくなら熊本のためになることをしよう」と、被災地支援ボランティアに風呂を無料開放した。その様子がテレビで紹介され、県内外のサウナーが足を運んでくれるように。20~30代を中心に広く親しまれるようになった。 全国の有名サウナ施設が登場するドラマ「サ道」にも取り上げられた。撮影のための施設利用代金を受け取らず、「最高のショットを撮ってください」とスタッフたちに焼き肉まで振る舞った西生さん。「焼き肉が今の全てにつながっているのかも」と会場の笑いを誘った。 サウナ後の食事「サ飯」のオリジナルメニューを考えるワークショップでは、馬肉を載せたどんぶりや、県産果物を使ったサウナ内で食べられる氷などのアイデアが出た。 さらに別の施設で阿蘇の火山岩を使ったサウナやバーベキューを楽しむなど、「熊本サ旅」を満喫した参加者たち。埼玉県川口市の会社員の下畝地勝海さん(54)は「普段はカルキの入った水風呂に入っている。熊本のミネラルウオーターや阿蘇を感じながら『ととのえる』なんてぜいたくすぎる」と目を輝かせ、移住もまんざらでない様子だった。 (小笠原麻結)