どんなハンドルでも締め付けトルクが分かる!? 便利なトルクレンチアダプター
トルクレンチがあれば、ボルトやナットの締め付けトルクを精密に管理できますが、日常的なメンテナンスでは出番はそれほど多くありません。また機械式のトルクレンチは意外にかさばり、工具箱を圧迫する原因にもなります。そんな時に注目したいのが、ラチェットハンドルやスピンナハンドルで締め付けトルクが分かるトルクレンチアダプターです。手のひらに収まるほどコンパクトながら、正確なトルク管理に役立つのが魅力です。 【画像】トルクレンチアダプターの使い方や関連写真をギャラリーで見る(4枚) 文/Webikeプラス 栗田晃
測定値がハンドル長に左右されないトルクレンチアダプター
サンデーメカニックにとって、トルクレンチは憧れの測定工具のひとつです。何となく「こんなものかな」という感覚で扱ってきたボルトやナットの締め付けトルクを正しく把握できるのは、安心感と信頼性につながります。 そんなトルクレンチは、レンチを握るハンドルからボルトやナットに接触するソケットまでの距離が重要です。 通常のメガネレンチに置き換えて考えると、柄の長いレンチの方が短いものより大きなトルクを加えることができます。テコも同様です。 そのため、トルクレンチのヘッドにアダプターなどを取り付けてグリップからソケットまでの距離が変化した場合、厳密に言えば元々の距離との差に応じて測定トルクを換算しなくてはなりません。 多くの場合、サービスマニュアルなどに記載された規定トルクには一定の許容範囲があるため、よほど長さが変化しない分には大きな影響はないのが実態ですが、本質的にはハンドル長さがカギを握っています。トルクレンチのハンドルをよく見ると、グリップ部分に入力位置を示すマークが入っていることもあります。 これに対して、使用するハンドルの種類に関係なくトルクを測定できるのが「トルクレンチアダプター」と呼ばれる工具です。 この工具は複数のメーカーから発売されており、製品名称もまちまちですが、何らかのハンドルとソケットの間に組み込み、ボルトやナットに加わるトルクを測定するという機能は同様です。 先に述べた通り、締め付けトルクをハンドルのしなりに置き換えて「カチッ」というクリック音を発生させる機械式のトルクレンチにとって、ハンドル長は測定の要となります。一方のトルクレンチアダプターは、アダプター自体にトルク測定機構が内蔵されているため、ハンドルが100mmでも300mmでも測定値に変化はありません。 測定値がハンドル長に左右されないことで、ラチェットハンドルやスピンナハンドルやT型ハンドルなど、作業内容や作業環境に応じて最適な工具を使用できるのが最大の特長です。 トルクレンチがあれば正確な作業ができるのは確かですが、使用頻度がそれほど高くないという人にとっても、コンパクトさが魅力となるはずです。また、デジタル式のトルクレンチアダプターは、機械式のプリセット型トルクレンチよりも多彩な機能が搭載されています。