どんなハンドルでも締め付けトルクが分かる!? 便利なトルクレンチアダプター
狭い場所ではエクステンションバーが必須
組み合わせるハンドルの種類を問わずトルク表示が正確で、左右どちらの回転でも測定でき、本体がコンパクトで収納場所に困らないトルクレンチアダプターは、従来型のトルクレンチに取って代わる可能性を感じさせますが、いくつかの弱点もあります。 まず第一に、機械式のプリセット型トルクレンチで一般的なラチェットヘッドに比べて、アダプター本体が大きく狭い場所で干渉する場合があります。エクステンションバーを組み合わせて逃げられれば良いのですが、ボルトやナットの上のクリアランスが狭い場所では使えないことがあります。 またラチェットハンドルと組み合わせた際に、ソケットと一緒にアダプターが回転して表示が見えなくなる場合があります。トルク値をプリセットして作業すれば、音と光が頼りになるため数値を見る必要はないとはいえ、ボルトを締め付けるにつれ表示部分が裏側に回ってしまうのは、違和感を覚えるかもしれません。 さらに、トルク設定値に対して組み合わせるハンドルが短い場合には、うまく作業できないこともあります。例えば100Nmのトルクを測定する際に全長180mmのラチェットハンドルでは、設定トルクに到達できないかもしれません。一般的なプリセット型トルクレンチが、設定トルクが大きくなるにつれてハンドルが長くなるのと同様に、トルクレンチアダプターも大きなトルクを測定する際にはロングタイプのハンドルを組み合わせた方がスムーズな作業が可能となります。 トルクレンチアダプターは便利な工具ですが、既存のトルクレンチに取って代わるほどのオールマイティな存在ではなく、従来のレンチで対応できない部分を補完する存在と認識するのが良いでしょう。 ────────── POINT ▶ポイント1・トルクレンチアダプターは、ラチェットハンドルやスピンナハンドルなどと組み合わせることでトルク測定ができる ▶ポイント2・測定中のトルクをリアルタイムに表示したり左ねじのトルクが測定できるなど、既存の機械式トルクレンチにない機能を装備しいてる ▶ポイント3・作業条件によってはアダプター自体が干渉して使えない場合や、表示部分が正対しないことがあるなど、使用上の制限を受けることもある ──────────
栗田晃