今の中国は“報復社会”深センで起きた日本人男子刺殺事件は反日感情から起きたのか?専門家「中国政府はいつも動機を発表しない」
■アメリカ人も襲われる事件「今の中国は『報復社会』」
犯罪者の動機について、中国政府や現地メディアが、動機を明かさないのは今回だけではなく、むしろ何度も起きている。「実はその前にアメリカ人が4人、大学講師が公園で中国の東北部で刺されている。アメリカ政府も中国側に一体どういう動機なのかと聞くが言わない。去年、同じ広東省で幼稚園を襲撃した事件があった。これはBBCなども報道したが、子どもを3人刺して、幼稚園の中にいた先生か、合計で6人亡くなった。こういったものは報道をしても、動機が分からない」と、類似の事案を示した。 また、現在の中国には「報復社会」という言葉が踊るという。「『社会に報復する』というキーワードが今、中国にある。中国語は動詞の後ろに目的語がくるから『報復社会』。結婚できない、仕事がない、だから人の家庭をぶっ壊してやろうとか、押さえつけられているから言いたいことも言えないから社会に報復する意味合いがある」。
■反日感情による犯行はミスリード?
中国内に漂う不平不満が、残酷な事件を起こしたと見る一方、日本人を狙った反日感情ゆえのものと見る動きもある。それはミスリードと懸念されるものでもあるが、興梠氏は「どんな事件も点を繋いで線にするしかない。一連の流れを見ると、ヘイトクライムだとか、日本人を狙ったものではないとかいうことも難しい」と述べる。 同様に、蘇州でも6月24日、スクールバスの停留所で日本人の母親と未就学男児が襲われ負傷し、バスに乗り込もうとした中国人の52歳の男を制した中国人女性ガイドが刺されて死亡する事件が起きた。「中国人の添乗員の女性が間に入って、体を張って守ったからバス停に立っていた男の子がやられたかもしれない。その前には日本人の男性もそのあたりで、首を軽く切られているので、今回3回目だ。本人の供述が発表されないから断定はできないが、この3つの点はどうなるのか。4回目が起きたらもう遅い。先手を打って、上海とか北京にも日本人学校があるので、情報を中国側がくれないなら、次も起きうると思ってやるしかない」と強い警戒心を示した。