涙があふれ続けた……牧野任祐、SF初優勝でチェッカー直後から半周ずっと大号泣「多分、俺意外と泣くタイプの人間です(笑)」
スーパーフォーミュラ第2戦オートポリスで優勝した牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。参戦6年目での初優勝に、普段はクールでスタイリッシュな雰囲気をまとう牧野も人目をはばからず号泣した。 【リザルト】スーパーフォーミュラ第2戦オートポリス:決勝結果 振り返ってみれば、完璧なレース運びであった。予選では岩佐歩夢(TEAM MUGEN)に次ぐ2番手に留まったが、スタートで岩佐の前に出てトップに立つと、そこからは先頭でレースをコントロール。早めにピットインし、フレッシュタイヤで周回していた山本尚貴(PONOS NAKAJIMA RACING)のアンダーカットを阻止すべく24周でピットインすると、作戦通り山本の前でコースに再合流し、レースの主導権を渡さなかった。 「あそこで尚貴さんの後ろに出るかどうかでレース展開が変わったと思うので、それも大きな要因だったかなと思います」と会見で振り返った牧野。ピットインした時から「ここが勝負どころだな」と認識していたという。 ピットアウトした瞬間、山本は牧野の背後まで迫った。牧野はその時のことを「思っていたよりも近かった」と会見後の取材で振り返った。 スーパーフォーミュラはタイヤウォーマーが禁止されている関係上、ピットアウト直後のドライバーはコールドタイヤのグリップ不足に手を焼くため、後続のライバルの追撃を阻止できないケースが多い。しかし牧野は背後に山本を従えながらも、ポジションを守り切ってみせた。 牧野は山本がすぐ後ろに迫りながらも、ピットアウト直後の1コーナーでポジションを守り切れると感じたという。 「僕たちの車はウォームアップが比較的早いというのもあり、3コーナーまで抑えれば大丈夫だというのは、レース前から何となく分かっていました。1コーナーを曲がって距離感見て、大丈夫だなと思いました」 「アンダーカット(早めにピットイン)されてから何周かタイムを稼がれても、その後ペースが(すぐに)一緒になることは例年のレースを見ても分かっていました。だからそこで何とか前に出てさえいればその後は絶対こっちに分があると分かっていたので、それも含めて本当に良いタイミングで(ピットに)呼んでもらったなと思います」 表彰式とトークショーを挟んでいたこともあり、会見の際には既に落ち着きを取り戻していた牧野。ただチェッカー直後は涙が溢れて止まらなかったといい、日立Astemoコーナー(第1ヘアピン、1ヘアなどとも呼ばれる)あたりまでは無線に応えることもできないほどの号泣だったという。ここまで優勝に届きそうで届かなかった牧野の苦労がうかがい知れる。 「初優勝するまで長かったですし、チームメイトがどんどん勝っていく中で自分自身もかなり辛く、落ち込むことが多かったですけど、やっと初優勝の気持ちを僕も味わうことができて本当に嬉しいです」 「なんかもう……涙があふれ続けました。俺、多分意外と泣くタイプの人間なんですよね、経験的に(笑)。もう号泣です。言葉よりも先にもう涙が止まらなくて、無線も全然喋れませんでした」
戎井健一郎
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