館山の津嶋栄子さんが「心の輪広げる体験作文」で全国第2席 重度知的障害のいとことの交流つづる(千葉県)
障害について関心や理解を深めてもらおうと、内閣府と各都道府県などが募った「心の輪を広げる体験作文」で、館山市の豊房小校長、津嶋栄子さん(57)の作文が全国第2席に当たる優秀賞に選ばれた。津嶋さんは「多くの人に読んでほしい思いで書いた。障害への理解につながるきっかけとなったら」と思いを話す。 障害者週間(12月3~9日)に合わせて行われている取り組みの一環で、障害のある人とない人の心のふれあいの体験をつづった作文と、障害への理解を広げるためのポスターを募集。津嶋さんの作文は、県の一般部門の最優秀作として推薦され、全国115作品の中から選ばれた。 「マサちゃんのこと」と題した作文は、津嶋さんといとこにあたる「マサちゃん」や、その家族との交流を通じて感じた思いや体験などをしたためた。マサちゃんには自閉症と重度の知的障害があり、はたから見ると意図のわからない行動や言動で、冷たい視線を向けられることもあった。マサちゃんとは、会話や意思疎通は難しいものの、幼少期の交流や「マサちゃんとお話したい」という子どもの頃の思いから、津嶋さんが教員として特別支援教育の道に進むきっかけとなった。 マサちゃんは、2023年1月に48歳で急逝。「迷惑ばかりかけて嫌われる人生」、いなくなった後のことを心配し、先に亡くなったマサちゃんを「親孝行」と話す両親である叔父、叔母の言葉に納得はできず、すぐに作文にしたという。障害がある人もない人も、心穏やかに暮らせる社会を願う思いをつづっている。 受賞作品は作品集として全国の小中高校、特別支援学校などに配布され、多くの人が目にしている。津嶋さんは、「受賞したことで、たくさんの人に読んでもらえるきっかけとなったのがうれしい」と受賞を喜ぶ。「マサちゃんのような障害のある人たちがいた時に、優しいまなざしを向けてほしい。一人一人の個性を認め合って、仲良く過ごせるような社会、学校をつくっていきたい」と話していた。 【房日新聞電子版では受賞作文を掲載】 (安井咲子)