【ザ・ノース・フェイス】アウトドアの機能を育児のストレス軽減に生かす、マタニティ&ファミリーライン
シーンや性別を問わず、「ロングライフ」を実現するために
高井: アメリカ発の施策ということではなく、日本チームの皆さんの中で熟成されていったのですね。2022年からはユニセックスアイテムを強化されましたが、2019年のローンチから新型コロナウイルスのパンデミックを経て、ニーズや方針などの変化があったのでしょうか。 谷本: まず時代の流れとして、“育児は性別を問わず向き合うもの”という認識が広がってきたと感じますし、パンデミックによって、家族としてのつながりや絆といったものへのニーズがより強まった印象もあります。 田中: ブランドとしては、育児そのものにフォーカスをしていきました。例えば、最初につくったレインウェアは、透湿性や着心地のよさといったアウトドアメーカーならではの優位性を生かして、抱っこ紐をしたままでも着用できる機能性とデザインを兼ね備えています。そして、アウトドアはもちろん日常も含めてより長く着られるように、育児が終わっても着用できる仕様にしたり、ユニセックスで兼用できるようにしたりしています。 高井: その視点も、「アウトドアと日常のシームレス化」という理念の延長線上にあるものですね。 谷本: いわゆるマタニティパンツも、実際に着用する期間は半年ぐらいしかないのでもったいないですよね。私たちは、アイテムをできる限り長く使っていただく「ロングライフ」というキーワードを大切にしているので、産前・産後もずっと使えるという視点は、どのプロダクトにも反映されています。
産前産後兼用の「マタニティロングパンツ」は、出産後にゴールドウインリペアセンターで無償修理が可能。ウエストリブを取り外すことで産後も継続して着用できる。取り外したリブの部分は、ベビーのおもちゃに仕立て直してプレゼント(写真左)。¥16500/ザ・ノース・フェイス ◆「MATERNITY+」とは? 2019年の秋冬シーズンに、妊娠・出産という変化を楽しみ、新しい挑戦を続けていく女性のための「THE NORTH FACE for MATERNITY」が誕生。2022年からは性別を問わず、育児をする人の負担軽減を目的に「MATERNITY +」へと進化し、ユニセックスアイテムのラインアップを強化。「こんなアイテムが欲しかった!」と言いたくなるような工夫が細部に凝らされている。 撮影/露木聡子 画像デザイン/坪本瑞希 構成・取材・文/国分美由紀 企画/高井佳子(yoi)