ドラフト直後と評価一変 「勝ち組」はまさかの球団 2016年ドラフト再点検
「運命の日」が刻一刻と近づいています。 10月24日に行われるプロ野球ドラフト会議です。12球団はこの1か月で議論を重ね、指名選手を絞り込んでいきます。 【画像】押さえておきたい「2024ドラフトの目玉」たちを厳選! 注目選手のプレー写真&寸評を一挙紹介 近年はアマチュア野球を扱う雑誌も増え、SNS上で「ネットスカウト」も活発に情報発信することから、会議後には各球団のドラフトに関する評価について、「満点ドラフト」「ウチは50点」などと盛んに意見が交わされています。 しかし、アマチュア野球の取材歴が長いライターは、こう断言するのです。 「ドラフト会議直後に採点するのはナンセンスと言っていいでしょう。高得点を挙げるのは甲子園球児や大学日本代表などのビッグネームを獲得したチームばかり。高卒選手が少なく、社会人や地方の大学生が中心になると、一気に低評価になる(笑)。でも高卒選手の育成って一種の賭けですから。8年後、どれだけチームに残っているのかって話です」 ならば――。 8年前の2016年ドラフトを総括してみれば、あの時とは違った「勝ち組」が分かるというものでしょう。 前述のライターがズバリ、診断したところ、当時の評価とはかなり違う6球団に「勝ち組」の認定がなされました。巨人、広島、DeNA、阪神、西武、オリックスです。 「あの年の『空気』を振り返ると、ファンの一番の関心は創価大の剛腕・田中正義がどの球団に行くのか。そして作新学院・今井達也、履正社・寺島成輝、横浜・藤平尚真の『高校BIG3』をどこが指名するのか、でした。しかし、8年の歳月を経て、意外な選手が球界の中心にいるわけです」 「巨人は1位で創価大・田中正義と桜美林大・佐々木千隼を抽選で外し、『外れ外れ1位』で中京学院大の吉川尚輝を指名しました。G党のほとんどが落胆したドラフトだったと記憶しています。しかし今の吉川を考えたら、完全に正解。むしろ2度抽選を外して良かったとも言えるでしょう」 「同じく1位で田中と佐々木を外した広島は、3位で中部学院大の床田寛樹、4位で日大三の坂倉将吾、5位で松山聖陵のアドゥワ誠を獲得し、いずれも戦力になっている。中位以下の指名選手がこれだけ成長するのはお見事です。DeNAも1位で明治大・柳裕也を外し、外れ1位でも佐々木を外しましたが、ドラフト9位で獲得した明治大の佐野恵太が大砲として主軸を担うまでになった。このあたりはスカウトの眼力のなせるワザでしょう」 「阪神は1位で白鷗大・大山悠輔を一本釣りしたところ、猛虎ファンから『誰やねん!?』と怒りを買ったことを覚えています。3位の須磨翔風・才木浩人が立派な主軸になった点も評価されるべきです。西武は1位の作新学院・今井達也がエース格になったし、3位のトヨタ自動車・源田壮亮は日本一のショートストップになった。オリックスも1位の東京ガス・山岡泰輔に4位の都城・山本由伸、6位で敦賀気比・山崎颯一郎と見事なもの。やっぱり、数年経ってみないとドラフトの評価は、分からないんです」 そういう意味で、スカウトの真の見せ所は「1位の競合を外してから」と言えそうです。 今年のドラフトではどんなドラマが生まれるのか、期待が膨らみます。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]