「カラテカ」矢部太郎をベストセラー作家に導いた故つかこうへいさんの言葉
お笑いコンビ「カラテカ」の矢部太郎さん(40)。気象予報士の資格取得、5つの語学の習得など、これまでも数々の話題を提供してきましたが、昨年10月に出したコミックエッセイ「大家さんと僕」は20万部を超える売れ行きを見せました。お笑い以外のフィールドでも幅広く活動する矢部さんですが、その礎になっているのは劇作家の故つかこうへいさんの言葉でした。
もちろん、芸人の先輩にはたくさん、たくさんお世話になっているんですけど、新たな扉を開いていただいたというか、自分も知らない自分に会わせてくださったのが、つかこうへいさんでした。 今から10年前、いきなりマネージャーから連絡がありまして。「つかこうへいさんから舞台の出演オファーが来ています」と。それまで、舞台なんてやったことはありませんでしたし、もちろんというか、つかさんとの接点も全くありませんでした。 すごく驚きましたけど、そんなお話なんて普通絶対にないし、これはやらせていただこうと。逆に言うと、本当に舞台のことを分かっていないというか、よく知らないからそこを受けられたんだろうなと今振り返ると思います(笑)。 舞台というのは東京・新橋演舞場で行われた「幕末純情伝」という作品で、主演は沖田総司役の石原さとみさん。なぜ、いきなり僕に声をかけてくださったのか。どうも聞こえてくるところによると、TBS系「さんまのSUPERからくりTV」で僕が出ているのをご覧になって「この人をキャスティングしたい」と思っていただいたそうで。 ただ、これは後になって聞いた話ですけど、つかさん以外のスタッフさんは全員反対したそうです(笑)。それもそのはずと言いますか、役柄は土方歳三。これまで土方さんを演じた方々と言えば、強くて雄々しい感じの方ばかりでしたけど、そこに僕…。スタッフさんの気持ちはよーく分かりますけど、つかさんがどうしてもと僕を押してくださったそうです。