バンス議員、米副大統領候補に急浮上-トランプ氏の「若手バージョン」
(ブルームバーグ): 米上院議員のJ・D・バンス氏は、トランプ前米大統領の副大統領候補として有力視される次世代のポピュリスト指導者だ。バンス氏は8年前、「ラストベルト(中西部のさびた工業地帯)」の貧困家庭で育ったことをつづった回想録「ヒルビリー・エレジー」で全米の注目を集めた。
バンス上院議員(共和・オハイオ州)は、トランプ氏の副大統領候補の中で、恐らく他の誰よりもトランプ氏に近い。選出されれば、トランプ氏に次ぐ「トランプ主義」の旗手となり、2028年大統領選の共和党候補指名争いでも有力候補となるだろう。
「彼はトランプ氏の若手バージョン、もっと雄弁なバージョンだ」と共和党の世論調査専門家フランク・ルンツ氏は指摘した。バンス氏(39)は上院で現在、2番目に若い。
ひげを生やし、ボタンダウンのシャツにジーンズ姿で選挙キャンペーンを行うことが多いバンス氏は、貧困家庭に生まれ、エール大学ロースクールを経てベンチャーキャピタリストとなった。米海兵隊に入隊し、イラクに駐留した経歴も持つ同氏は、2022年に初めて公職に就いた。
トランプ氏は当時、混戦となっていた上院議員選の党予備選でバンス氏を支持した。共和党討論会でのパフォーマンスに感銘を受けたためだ。討論会でのこうした手腕は、ハリス副大統領と対決することになる場合、極めて重要になる。
トランプ氏の副大統領候補にはこの他、ノースダコタ州のダグ・バーガム知事やフロリダ州のマルコ・ルビオ上院議員、サウスカロライナ州のティム・スコット上院議員らの名前も挙がっている。
批評家らはバンス氏を政治的な日和見主義者で「いかさま師」と呼び、かつてはトランプ主義者ではなかったと指摘している。バンス氏は2016年と17年にトランプ氏について、「有害であり、白人の労働者階級を非常に暗い場所に導いている」といった発言をしていた。バンス氏はその後、特に貿易面での中国に対するスタンスなど、大統領任期中の政策に基づいて、トランプ氏を支持するようになったとこれまでに語っている。