[MOM1004]慶應義塾大DF山口紘生(4年)_1部から3部まで転落も…2部優勝で締め括った激動の4年間
[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ] [11.16 関東大学L2部第22節 日本体育大 0-0 慶應義塾大 日体大横浜・健志台キャンパスG] 【写真】ジダンとフィーゴに“削られる”日本人に再脚光「すげえ構図」「2人がかりで止めようとしてる」 慶應義塾大DF山口紘生(4年=國學院久我山高)の1部で始まった関東大学リーグでの戦いは昨年度、3部まで転落した。それでも2年連続で昇格を達成し、2部優勝とともに1部の舞台を置き土産にする華々しい結末。「個人の想いとして、先輩たちに経験させてもらった1部の舞台を後輩たちに託すことができたところは本当に良かった」と責務を果たした。 中町公祐監督が「なかなかそういった学年は聞いたことがない」と話すように、激動の4年間だった。山口は入部1年目の2021年、1部で16試合に出場したものの最下位で2部降格となった。翌年は1年での復帰を目指して全試合にフル出場したが、まさかの3部降格。それでも「この(残り)2年はできることを全部やって」と前を向き、初参戦となった3部で入れ替え戦を制して1年での2部復帰を果たした。 最終年で2部に戻ってきた今季、山口はキャプテンを務めた。掲げたのは「2部優勝・1部復帰」。「慶應はいつから上を見上げるようなチームになったんだ」という指揮官の言葉に奮起すると、チームは序盤から首位の座を守り続けて2節を残しながら21年以来の1部復帰を決めた。 迎えた最終節、大敗以外で優勝が決まる状況で2位・日本体育大と対戦した。山口ら4年生にとってはこれが大学サッカーラストマッチ。結果は無失点での0-0で2部制覇を果たすことができ、「勝てなかったけれどパフォーマンス自体は悪くなかったと思う。自分たちが積み上げてきたサッカーを楽しみながらできたところが良かった」と今季の取り組みを示す最終戦になった。 目標を達成した今シーズンは副将のMF茅野優希(4年=慶應義塾高)と共に駆け抜けてきた。中町監督が「良いバランスだった」と示す主将・副将コンビに、山口自身も手応えを感じていたようだ。 「問題の捉え方とか考え方が結構真逆で、お互いにないものを持っていたのはすごくいいところだったと思う。どっちかが引っ張って、どっちかが抑えてというのをそのときそのときでやってくれた。お互い足りないところも多かったですけど、うまく支えながらできたのは今シーズンの結果と無関係ではないのかなと思います」 また最終学年で主将を務めるという大きな責任を背負いながらも、中町監督の下でビルドアップなどの新たなサッカーにチャレンジすることで、サッカーをプレーする本質に立ち返ることができたという。 「責任ある立場になってサッカーが楽しいものだけじゃなくなる部分は大きくあると思うんですけれど、やっぱり根底にはサッカーが好きという思いがないとピッチに立つ意味はないと思っている。最終年にして新しいことにいっぱい日々チャレンジして、少しずつ進歩を感じながらサッカー選手として関東リーグに取り組んだのはすごく刺激的で、難しいこともあったんですけど楽しかった。4年で主将でというところもありながら、いちサッカー選手としてすごく楽しかった」 その上で山口は守備の土台を作った前監督の淺海友峰氏、攻撃面をアップデートした中町監督の両指揮官に感謝しながら「組織的な守備の上にアイディアやクリエイティビティな攻撃というどっちもを今年は発揮できた」とチーム力の向上ぶりを示す。3部からただ這い上がってきたのではなく、自分たちのスタイルを確立させて1部に戻る形だ。 1部、2部、3部、2部と激動の4年間を過ごした主将は「まず前提として、やっぱり慶應はそもそも1部で当たり前のように戦うべきチームだと思っている」と強調。再び1部に戻る来季に向けて、「1部だったり早慶戦や全国大会で自分たちの力を当たり前のように発揮してどんどん上を目指すようになってほしいですし、それにあたって自分たちが1部に立つ責任とともにサッカー選手として1部の舞台を心の底から楽しむところを後輩たちには期待したい」と信頼する下級生にエールを送った。