ネット上で「つまらん」と酷評の閉会式を海外はどう受け止めたか…新国立競技場の外にあった東京五輪の真実
五輪マーク“光のショー”「どうやって作ったの?」
豪州のABCニュースは「五輪閉会式のハイライト。東京2020の閉会から5つの最高の瞬間」との見出しで、閉会式のハイライトを5つ紹介した。 1つ目は、オーストラリア選手団の様子を伝え、2つ目は、五輪マークを作った光のショーに「どうやってこれを作ったの」と注目。「開会式でも驚かされたが、また新たな驚きがあった。小さな照明の球の集まりがアスリートとパフォーマーたちの上を動き、空中に五輪の輪のイメージを作り出すために動き回り、驚くべき照明のディスプレイが完成した」と紹介した。3つ目は、無観客で行われた閉会式の中で男女のマラソン競技のメダル表彰式が行われたことについて触れ、4つ目に「佐藤健作氏による日本の和太鼓演奏やアオイヤマダ氏によるソロダンス」をピックアップ。 「閉会式の記憶の瞬間として完璧に彩られた。式典のこの部では、日本中の伝統的な複数の踊りを通して、アスリートたちが加わった東京音頭で締めくくられた」とした。 最後にバッハ会長の酷評のスピーチを「力強い言葉」と称え、「五輪大会の開催がほぼできなくなるような状況が何度もありながらも、多くの懸命な尽力によって実現できたことを我々に思い出させた」と評価した。 NBCニュースは、「テンポ早くきっちりと用意された閉会式が東京時間午後8時に始まり、開会式と同じく、それはスポーツと日本のお祝いだった」と紹介。「閉会式はアスリートたちがフィールドを去るなか巨大スクリーンに示された『Thank you』を日本語で意味する『arigato』の文字で締めくくられた」と続けた。
また同メディアも次のパリ五輪の紹介ビデオに触れ「フランスの首都ではパリ2024への夏季五輪の引継ぎを祝うために観客が集まり、青、白、赤の3色の煙を放つ戦闘機が上空を急スピードで飛ぶ間に、エッフェル塔の下でダンスや祝う様子が見られた」と紹介した。 ワシントンポスト紙は、「大混乱、不確実性、異常、そして競技での輝かしい瞬間のすべての終わりに大会は、日曜日、開会と同じく音楽やアスリートとボランティアたちの拍手や歓声が鳴り響く音だけのほぼ空席のスタジアムで閉会された」と伝えた。 スカパラの演奏で東京の公園の様子を表した演出について「アスリートたちがまるで東京の公園にいるような感じになるように、組織委員会は、スタジアムの中央を芝生で整えた。この動きは五輪参加者たちが新型コロナの規制のために街への外出ができなかったことを受け入れてのものだった」と紹介。「縄跳びやヨガといったパフォーマンスはアスリートたちに伝えたかった首都の実生活の一端で公園にいる感覚を再現していた」と続けた。 同紙は東京五輪についても総括。 「2週間にわたってスポーツの熱と友情を示す素晴らしい瞬間があったにもかかわらず、五輪大会は東京や周辺地域で新型コロナの感染が急速に広がったことで影も投げかけた」と指摘した。 そして「五輪に関する世論調査結果は、先週の段階では反対意見は下がり始めていた(主催国の金メダルの獲得が助けとなったかもしれない)。だが、世論の多数は依然として五輪に反対で東京での感染者数が記録的に増加すると、その不満は高まりを見せた。閉会式のあった日曜。新国立競技場の外では、その入り混じった国民感情が象徴的に示されていた。閉会式が始まる1時間前、市民は音楽を聞き、花火を見るためにフェンスや警察にふさがれた無観客の会場になるべく近い通りに並んだ。一方で、抗議者たちは近くで五輪反対のデモを繰り返した」というレポートを掲載した。 閉会式の評価うんぬんを議論するよりも、閉会式が行われた新国立競技場の外に東京五輪の真実があったのかもしれない。