体操・日本に中国アウェーの壁
中国の南寧市で行われている体操世界選手権の男子団体総合で7日、日本は中国にわずか0・1点差で敗れ、銀メダルに終わった。 日本は最初のゆかでトップに立つと、5種目めの平行棒まで首位を譲らず、この時点で2位の中国に0・691差。最終6種目めの鉄棒でも加藤凌平が14・200点、田中佑典が15・266点、内村航平が15・400点ときっちり得点を稼ぎ、金メダルの手応え十分の状態で、後から演技する中国の採点を待った。 ところが、中国最後の演技者であるベテランの張成竜が、完璧な演技をした内村よりも0・566点も高い15・966点の超高得点をマークし、合計273・369点。合計273・269点で終えていた日本は、最後の最後で中国に逆転優勝を許してしまった。 呆然とする日本チーム。大喜びの中国チーム。そして、大歓声の中国大応援団。しかし、会場に流れた空気には微妙なよどみも混ざっていた。中国人以外のメディアがこぞって首をひねるほど、張成竜の出した得点があまりにダントツだったからだ。 日本は本当に中国に負けたのか。中国は本当に日本に勝ったのか。 「最後の鉄棒が終わった瞬間、今までにないくらい勝ったという手応えがあった」。そう振り返ったのは内村だ。最後の着地をピタリと止めて自身の演技を終えた瞬間、内村はスタンドの日本応援団に向かって何度もガッツポーズを繰り返していた。体操ニッポンのエースの確信めいたポーズに、中国ももはやこれまでかというムードが漂った。 しかし、終わって見れば僅差の敗戦という現実が待っていた。内村は「日本はやれることはしっかりやったけど、(開催)場所の差なのかな。悔しいというより、『はぁーー』という感じ」とため息交じりに言った。 内村に続いて団体戦の出場経験の多い田中は、唇を震わせていた。「確かに中国は強かった。緊迫した状況でも最後の鉄棒で3人とも良い演技をしていたと思う。けど…、僕たちが…、勝っていたと思う。金でも良いと思う」と、途切れ途切れに言葉を絞り出した。白井健三は「負けた気がしないですね」と首をかしげた。 選手だけではない。水鳥寿思監督も苦渋の表情を浮かべる。「選手は落ち着いてよくやってくれた。ほぼ100%力を発揮してくれた。ただ、自分たちの力を出し切れば必ず勝てると思っていたが、それをやりきっての2位なので、私もなかなか受け入れにくい」と眉間にしわを寄せた。