森永乳業の「工場見学」こだわりが詰まった内部。60年代の工場見学実施初期の貴重な写真も
■現場の改善活動のさまざまな工夫 工場見学で見えるのは、もちろん一部だけ。森永乳業の工場ではそのほかにもさまざまな取り組みを行っている。 たとえば東京多摩工場では、製造現場と品質管理室の間で、サンプルを運ぶ猫型配膳ロボットが活躍する。通称たまニャンと呼ばれるこのロボットは、往復300メートル、1日平均40往復し、工場で働く社員の負担を減らすことに貢献している。 こうした日頃の工場現場での改善項目を、現場から吸い上げる取り組みも行っている。
「具体的な内容や件数は言えませんが、1人当たり年間で数十件とあがるので、かなりの数の改善提案が毎年生まれています。つねに何か改善できるところはないか、意識することが習慣化されてきています」(石原さん) ちなみに、製造現場での勤務経験をもつ石原さん自身も、数々の改善提案を行ってきた。今まで「ルールだから」と当たり前に行われてきた部分を疑問視し、改善することで歩留まりを大きく向上させた。結果的に多くの工場でも取り入れられ、年間テーマ大賞を受賞した。
■オンライン工場見学や出前授業も 森永乳業の今後の課題の1つは、自社の強みでもあるビフィズス菌の魅力や価値をしっかりと伝えていくこと。そして、その手段の1つとして工場見学にも力をいれていきたいと石原さんは話す。 「森永乳業からのメッセージを伝える手段やファンづくりという面でも重要ですが、小学生向けのオンライン工場見学などの機会や出前授業を通して、次世代成長支援にも力を入れていけたらと思っています」(石原さん)。
これから冬に向け、濃厚な味となっていく牛乳。それと同じように、さらに濃くなっていくだろう森永乳業の工場見学にも期待したい。 【そのほかの写真を見る】ドリンクヨーグルトがつくられる様子。60年代の貴重な工場見学の写真も
丹羽 桃子 :工場見学マニア・ライター