水分不足は腸内環境を悪化させ、感染症にかかりやすくする 北里大などマウスで解明
これらの結果から、水分が不足すると腸内環境が悪化し、免疫の機能がうまく働かなくなり、感染症にかかりやすくなったり、感染した場合に菌の排出に時間がかかったりすることが分かった。金教授は「食物繊維や乳酸菌は腸に重要だと言われてきたが、水分も同じくらいに大切だと分かった」という。
水の必要量はヒトの場合1日2.5リットル程度と推定されている。今後はヒトについての実験を行いたいとし、「食事からも水分が摂取できるとはいえ、十分な水分量がとれている人は少ないのではないか。暑くなると水分不足になりがち。水のとり過ぎは水中毒や低ナトリウム血症になるリスクがあるが、不足も脱水のみならず、腸へのリスクと考えられる」とした。とりわけ、水分不足を自覚しにくい高齢者や乳幼児は普段から意識的に多めの水分をとった方が良いのではないかと金教授は話している。
研究は日本学術振興会の科学研究費助成事業と東京財団政策研究所、山形県鶴岡市と、科学技術振興機構(JST)の次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)などの助成を受け、慶応大学と共同で行った。成果は米科学誌「アイサイエンス」電子版に5月16日に掲載され、同21日に北里大学などが発表した。