サラリーマンが定年後も働いた場合、国民年金・厚生年金はどのくらい増える?元公務員がポイントを解説
在職中に年金額が再計算される仕組み「在職定時改定制度」とは
在職定時改定制度とは、厚生年金に加入しながら老齢厚生年金を受けている65歳以上70歳未満の人が基準日の9月1日において被保険者の場合に、翌月の10月分からの年金額が見直される制度です。 在職中であっても、10月に前年の9月から8月までの被保険者期間が年金額に反映されるため、定年後も働いたことによる年金の増額をダイレクトに実感できます。 もし9月1日時点で厚生年金の被保険者でなくても、資格喪失から1ヶ月以内に再度厚生年金保険に加入した場合は、在職定時改定制度が適用されます。そのため、8月末で退職したとしても、すでに新しい勤務先を見つけているのであれば、翌年10月からは増額分の年金を受給可能です。 在職老齢年金で年金が支給停止されたとしても、在職定時改定制度により支給停止額が変わる可能性もあります。65歳以上も働く人は、年金支給が停止となっていても、少しずつ年金の増額が期待できるでしょう。
まとめにかえて
サラリーマンが定年後も働いた場合、厚生年金を月額1~3万円ほど増やせます。年間12~36万円が生涯にわたって増額となるため、定年後働かない場合に比べて、年金受給額の差を大きく広げることができます。 とはいえ、定年後に働きたいと思っていても健康面・体力面から再就職を断念する人もいるでしょう。どのようなライフプランになっても老後に困らないよう、私的年金をつくったり資産運用したりして、十分な老後資金を貯められるよう努めましょう。
参考資料
・日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」 ・日本年金機構「国民年金保険料」 ・日本年金機構「厚生年金保険料額表」 ・日本年金機構「は行 報酬比例部分」 ・日本年金機構「在職中の年金(在職老齢年金制度)」 ・日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」 ・日本年金機構「令和4年4月から在職定時改定制度が導入されました」
石上 ユウキ