パルサーGTI-R Gr.A仕様【後編】デカールまでもすべて新規作成して当時の姿が蘇る|日産名車再生クラブ 1992年式パルサーGTI-R
【デカールまでもすべて新規作成して当時の姿が蘇ったパルサーGTI-R||日産名車再生クラブ 1992年式パルサーGTI-R 後編】 【画像17枚】ラリー車ならではのマッドガードの装備やサイドシルにはジャッキアップポイントのホールが設定されている 【前編】から続く 日産名車再生クラブによってレストアされたグループA仕様のパルサーGTI-R。 ワークスカーのため、各部にスペシャルな設定も多く、再生には、かなりの苦労があったようだ。 エンジンはピストンがオーバーサイズだったり、クランクのメインキャップがアルミ化されていたりグループA仕様ならではの設定となっている。 各パーツの設定値やクリアランスが基準値に適合するように調整して組み立てている。 エンジンはグループA車両の場合、ノーマルは異なる専用部品が多数採用されている。エンジン内部も、ピストンもオーバーサイズのものが採用されており、実質的には排気量はアップされている。 内外装に関しては、実戦の痕跡をリアルに伝えていくために、オリジナルを残す方向で対応。とはいっても、保存していくことを考慮してパテで修理した形跡のあるボンネットは、全面修復。割れや変形などがあったバンパーとリアスポイラーを修正、ハンダでの接着で対応。 フロアパネルは、全体がサビだらけだったことから、サビ取りと傷みのひどい部分の修復を行っている。 室内は徹底したクリーニングを行い、泥やサビなども除去して美しい状態としている。そしてデカールは剥がされていたスポンサーステッカーの再現や、欠損していた部分の修復。 レストアされたバンパーやリアスポイラーのデカールは新たに製作している。劣化していたサイドのゼッケンも貼り替えている。このような細かい作業の積み重ねで、当時のままといっても過言ではない、RACラリー参戦仕様を完全復元している。 ドライブトレインは、グループA車両専用に設計されたものとなっており、ミッション&トランスファーケースはマグネシウム製。6速ミッションもオリジナルでドグクラッチを採用。それぞれ分解、洗浄を行い、摩耗状態を確認して再組み立て行っている。 ちなみに、センターデフはETS(前後の動力配分を制御する)を内蔵した専用品で、ニスモのサポートを受けてチェックを行っている。 ブレーキ関係では、マスターシリンダーが2系統となっており、フロント用とリア用を独立して設定。そしてバランサー付きとなっており、ブレーキングの前後バランスを室内から調整できる機構を搭載している。 路面状況に応じて細かく対応できるもので、ラリー車ならではのものといえる。 キャリパーはブレンボ製のスペシャルで、現在のものとは品番が異なるためピストン径から適合するパッドをセレクトして対応している。 電装系では、市販車では考えられない強固なMILスペックのコネクターの使用やハーネス類の徹底したボディ固定が施されていたという。 これぞラリーの最高峰で戦うためのコンペティティブな設定だ、とア担当者も本物感を実感したという。 作業内容はセンサー類やハーネスのチェックを実施し、ダメージ部分を修復している。 こうして、およそ2年間と短いながらも世界の舞台で活躍したパルサーGTI-Rが蘇ったのである。
Nosweb 編集部
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