ラグビー「リーグワン」開幕戦が中止…バスケ天皇杯、ハンド、相撲界…スポーツ界を襲うオミクロン株の恐怖
5日に確認された日本国内の新規感染者は2638人と、前日4日の1268人から倍以上に急増した。一日当たりの新規感染者が2000人を超えるのは昨年9月26日以来で、感染力が非常に強い変異株「オミクロン株」への置き換わりが急速に進んでいるとみられる。第6波の到来が現実味を帯びてきたと警鐘を鳴らす識者も少なくない。 オミクロン株に感染したかどうかを調べるには、ゲノム解析で3日ほどを要する。そのためリーグワンの埼玉を含めて、4日および5日にスポーツ界で相次いで判明した陽性者および感染者が、オミクロン株によるものかどうかはすぐにはわからない。 昨年末にカザフスタンで開催された空手のアジア選手権に出場した、日本代表選手団の11人が帰国時の検査で陽性判定を受け、うち8人にオミクロン株への感染が確認された。これが日本スポーツ界では初めてとなるオミクロン株への感染とされている。 しかし、アメリカやヨーロッパで急速に蔓延しているオミクロン株は、すでに日本でも30を超える都道府県で市中感染が確認されている。もちろんスポーツ界も例外ではなく、今後においてその脅威がさまざまな影響を及ぼしてくると懸念される。 例えばサッカー日本代表は今月21日のウズベキスタン代表との国際親善試合、今秋のカタールワールドカップ出場をかけた同27日の中国、2月1日のサウジアラビア両代表とのアジア最終予選をすべて埼玉スタジアムで予定している。 しかし、日本政府はオミクロン株に対する水際対策を強化するとして、昨年11月30日午前零時から全世界を対象として外国人の新規入国を原則禁止とした。1ヵ月とされた期間は昨年末に「当面の間継続」とされ、いま現在も変更はない。 年が明けて感染者数が急速に増え始めた状況と、まだ第6波の入り口にあるとされる今後の見通しとを踏まえれば、政府がすぐに外国人の新規入国に対する判断を変えるとは考えにくい。加えて、昨年は公益性があるとして認められてきた「特段の事情」による入国が、今回は特にスポーツや芸術の分野でまったく認められていない。 JFAはスポーツ庁を通じて政府と折衝しているが、国民の健康が最優先されるだけに、サッカーだけを特別扱いしてほしいと要望するわけにもいかない。現状が続けばウズベキスタンや中国、サウジアラビアが入国できない事態も考えられる。 JFA技術委員会は「予定通り活動できる前提で準備を進めていく」というスタンスを貫いてきた。今後も感染の推移を注視するしかない状況で、オミクロン株への置き換わりが急速に進むコロナ禍が、スポーツ界に与える脅威もどんどん増していく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)