期待の「打てるキャッチャー」になるための課題は? 名捕手が見たDeNA高卒2年目の逸材・松尾汐恩の「現在地」
捕手としては発展途上。逸材捕手の課題は?
一方で捕手としての発展途上だ。相川亮二バッテリーコーチは「1軍のピッチャーって言うと話は変わってくる」と2軍での経験は別物と断言。「もちろん日々成長している選手なので楽しみには見てますけど、課題も日々変わってくるし、いろんなことに挑戦しながらですから。キャッチャーとしてだと、僕はまだ期待はしてない。楽しみにはしてますけどね」と現状に厳しい目を向ける。 ただ、「やっぱり打撃っていうところは彼の1番の持ち味。まずはそれをどんどん活かしていくことが大事。チームは期待で呼んでるわけじゃなくて、松尾が2軍で打撃で結果を残していたから呼ばれたので」と打てるキャッチャーとして鳴らした名捕手の目にも、非凡な打撃センスは魅力的に映っている。 当人も「自分のアピールポイントであるバッティングで、まずは結果を出さないといけない」と1軍で生き残るポイントは理解する。実際、昇格後は7月19日から6試合続けて代打で起用され、20日のヤクルト戦では田口麗斗からセンター前ヒットを記録。28日の巨人戦では菅野智之の一球をレフト前に運んでみせた。 三浦大輔監督も「1軍では久々のマスクになりましたけれども、親子ゲームではマスクを被ったりしてましたから、少ないケースでもしっかりとピッチャーリードできてましたし、バッティングでも1本出ましたしね。楽しみな選手です」と昇格後は打率.322(※8月3日時点)と数字を残す松尾の成長に目を細める。 また、「バッティングの状態はいい。何かをこちらに感じさせるものを持ってますから」と語る三浦監督は、「打席での雰囲気もそうですし、ファンの方の声援や空気感もすごいですし。右の代打で、これからも使っていきたいと思っています」と、スターダムを駆け上がる松尾の継続的な起用を明言している。 周囲の期待は高まる。しかし、弱冠二十歳の若武者は「いつでも変わらず、自分の最低限できることっていうところをまずしっかりできるようにっていうところを大切にして、あとはもう自分の持ってる力を全部出し切ることっていうのはやっていきたいですね」と地に足のついた姿勢で、一線級のピッチャーと対峙していくと言葉に力を込める。 首脳陣が声を揃えて認める天賦の才を持つ。そんなトッププロスペクトの成長が、ハマの希望へと直結していく。 [取材・文/萩原孝弘]