男子トイレの密室と片言の日本語「サワッテ、ダイジョブ?」被害者は18歳男子高校生《同意の有無》どう認定? 急増する不同意性交罪
男子高校生はその後、待ち合わせをしていた友人に「トイレに変な外国人がいた」などと被害にあったことを打ち明けており、「まだいるかもしれない」と一緒にトイレに戻っている。友人はそこで男子高校生が「マジ気持ち悪い」と言って股間を洗っていた、と証言した。 ■「サワッテ、ダイジョブ?」 一方、被告と弁護人は、被告が男子高校生の股間に手を近づけ「サワッテ、ダイジョブ?」とたずね男子高校生はうなずいたと主張。さらに被告がトイレの方を指さし「ダイジョブ?」と聞いて2人で入った、など、合計4回、同意しているかを確かめ「承諾を得た」とし、暴行の事実もないと主張した。 また弁護人は、「トイレの個室に男性が2人入ることはふつうあり得ない」とし、「性的関係に同意したと考えるのは自然」「合理的疑いが残る以上、有罪とは出来ない」として無罪を主張した。 検察官の求刑は5年の実刑。被害者の「性的自由」を著しく侵害し、精神的被害も重大、再犯の恐れも大きく徹底した矯正教育が必要とした。 ■「信じている」泣いて訴え 最後に言っておきたいことはないか?裁判官にたずねられた被告は、泣きながら「私は心から信じている。Aさん(男子高校生)と私は同意に基づいて行為を行った。Aさんを傷つけたのであれば、心から謝罪します。私はAさんを傷つける意図は本当にありませんでした。それだけです」と英語で語った。 弁護人によると、被告は逮捕時から一貫して無罪を主張。一方、男子高校生が被害を訴えていることを受け、「傷つけた」として150万円を支払っている。 母国語の違う、およそ50歳離れた被告と高校生。そのやり取りはすべて、第三者の見ていない「密室」で行われた。事実認定は、2人の証言に基づくしかない。それが食い違った場合、証言の信用性が争われる。 ■「不同意性交」の認知件数は急増 「不同意性交罪」は、去年7月の刑法改正でできた(2023年6月23日公布、同年7月13日施行)。強制性交罪と準強制性交罪を統合したものだ。